昨日、風丸とキスした。


(だって、いいよ、なんて言うから…!)


事の発端は俺が風丸に「宿題手伝ってくれ」と頼んだことだ。その日は宿題見てもらって、一緒に晩御飯を食べようと思ったのに。
いつも通り宿題に飽きて喋りだす俺に風丸は怒りながらも相手をしてくれた。どこから湧き出た話題かはわからないが、何故かキスの話題になった。俺たちだって健全な中学二年生。興味が無い訳がない。


『なあ、風丸はキスしたことあるか?』
『なっ…あ、ある訳ないだろ!』
『だよなー…あー一度キスしてみたいな!』
『円堂がそんな事言うなんて珍しいな』
『俺だって健全な中学生だぜ!』
『たまに忘れそうになるよ』
『どういう意味だよ!あ、風丸とならキスしてもいいかも!』
『…え?』
『なんて冗談』『いいよ』
『…え、』


そして、俺たちはぎこちないキスをした。その後はあまり記憶に残ってないけど、風丸が真っ赤な顔で「帰る!」と言ってばたばたと出て行った…気がする。
風丸の唇が触れたところが無性に熱くて、今日はあまり寝れなかった。そのせいかいつもより朝早く起きてしまった。
部室に着き、扉を開けると案の定誰もいなかった。当たり前だ。朝練開始よりも30分早い。俺は溜め息をついて椅子に座った。ぼうっと扉を見つめていると、ノブがかちゃりと回った。まさか、そう思った時には、見慣れた姿が目の前に現れていた。


「…かぜ、ま」


風丸は俺の目線から逃げてさっさと自分のロッカーへ足早に歩み寄った。


「…風丸?」


いくら呼んでも、返事が無かった。「風丸!」さっきよりも大きな声で呼ぶと、風丸はせわしなく動かしていた手をぴたりと止めた。


「…俺たち、付き合っているのか…?」
「え?」
「俺は…その…キ……ス、嫌じゃ無かったし…円堂のことは…恋愛感情として…好き…だ…。お前は、…どうなんだ?」


背中姿しか見えてないけど、きっと風丸は今頃真っ赤なのだろう。まるでりんごのように。想像するとたまらなく愛しくなり、そのがっしりとした背中に飛び込んだ。


「俺も、風丸が好き!」


ちょっと順序が違ったけど、まあいいよな?



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相互記念小説でした。
双さまのみお持ち帰り可!


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