「かーぜーまるー!!」
(うるさいな……)
春の陽気に包まれた
心地よい朝に割り込んできた
聞き慣れた声によって
覚醒させられた。
(円堂……?)
ベッドからよろよろと立ち上がり
カーテンを少しだけ開いた。
(…やっぱり)
家の前には
オレンジ色のバンダナを巻いた
円堂が居た。
俺の部屋を見上げていたので
必然と目が合う。
円堂はニカッと歯を見せて笑うと
「下降りてきて」という
下を指差すサインをした。
「…俺寝間着なんだけどな」
ま、いっか
と頭をポリポリと掻いて
部屋を出た。
「おはよ、風丸!」
「………おはよう」
春休みになって早一週間。
円堂はこうやって毎日俺の家に来ている。
「遊ぼうぜ!」
「…………いいんだけど
お前毎日俺と遊んでいて
飽きないのか?」
「飽きないぜ!
つか風丸と一緒に居たいし!」
「…………………は」
熱が顔に集まるのがわかった。
こいつは恥ずかしいことを
いつもさらりと言ってしまう。
(心臓が保たねーよ…)
顔が赤いのを悟られないように
俯いて「着替えてくる」と簡潔に言った。
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