「冬だー!雪だー!」
「雪だるまだー」

尋常じゃない寒さに
思わず声のトーンも下がった。

周りは一面の雪景色。
といっても、元はただの校庭だが。

何故、俺はこの目の前ではしゃぎまくっている奴と
こんな所に居るのか。
それは、30分ぐらい前に遡る。





『風丸!雪降ったな!』
『そうだな』

受話器からなのに容易に笑顔の円堂が思い浮かんだ。

『なあなあ、雪だるま作ろうぜ!』
『いいけど…そんなに雪あるとこあるのか?』
『あるぜ!』

はやっ。
円堂は即答で答えた。

『そ、そうか』
『10分後迎えに行く!じゃ!』
『あ、ちょ、ま、』

ガチャ プーップーッ

俺の返事も聞かずに電話を切ってしまったらしい。
全く、話くらい聞いてほしい。
まあ断る気なんてさらさら無かったけど。



ピンポーン

『はいはーい』

ちょうどきっかり10分後、
軽快な音のチャイムが鳴った。

ドアを開ければ
にかっと笑う円堂の顔。

『お待たせ!』
『…おう、』

俺は寒さ対策のためにブーツを履いて
外を出た。

『…ぅぅぅ、結構寒いな』
『冬だしな!!』

当たり前だろ、と突っ込みたかったが
寒くて上手く声が出なかった。

力を振り絞って、
さっきから疑問に思っていたことを聞いてみた。

『…どこに向かってるんだ?』
『雷門中!!』
『…は!?おま、門閉まってるぞ?』
『実は楽々入れる入口があるんだよ』

秘密な、と言いながら
唇に人差し指をあて、
「しーっ」とポーズをとった。
なんて可愛いんだ。

『?風丸、顔赤いぞ』
『しもやけだ』
『ダイナミックなしもやけだな!』





そして今に至る。
楽々入れる訳では無かったが
あの馬鹿高い塀を飛び越えるよりは
はるかにましだった。

キャッキャとはしゃいでいた円堂が
こちらを振り向くや否や
「雪だるまつくろーぜ!」と言ってきた。
もちろんOKする。

「じゃんけんで勝ったほうが頭な」
「「じゃーんけーん」」

「ぐわっ!負けた!」
「よっしゃ!」

結果俺が勝ったので
小さくても済む頭作りをすることになった。
手袋をしているとはいえ、
さすがに冷たいであろう。
俺は円堂に同情した。


bkm

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