「かーぜーまるー!
お昼食おうぜ!」
「円堂、いいぜ」

昼の時間が始まるや否や
俺は風丸のクラスに飛び込んだ。

俺はいつも通り教室に入ると
風丸の前の空いている席に座った。
昼飯を食べる時間だけはクラスや学年の誰とも食べて良いし、クラスを行き来しても良いことになってる。
現に俺が借りている席の奴は、毎日隣のクラスで食事をしているらしい。

俺が弁当箱を広げると
これまたいつも通り豪炎寺と鬼道と吹雪がやってきた。

「一緒に食べてもいいか?」
「もちろん…というかいつも食べてるだろ」

鬼道が「そうだな」と軽く笑い、
それぞれ机をくっつけた。
そして皆色とりどりの弁当箱を開けた。

『いただきます』

一斉に箸を手にとって
食事を始めた。

「皆美味そうだな!」
「キャプテンの弁当も美味しそうだよー」

花が綻ぶように笑う吹雪の弁当は
シンプルだけど美味しそうだ。

不意に風丸を見ると
玉子焼きが目に留まった。

「風丸の玉子焼き美味そうだな!
食ってもいいか?」
「へっ、こ、これか?」

風丸は箸で玉子焼きを指した。
それそれ、と頷く。

「えーっと…きょ、今日は…」
「?どうしたんだ?
おばさんが失敗したとか?」
「いや、そうじゃないんだが…」

風丸が煮え切らない態度を取るのは
あまり珍しいことでは無いが、
今日はちょっと違う気がする。
そう、なんか恥ずかしさがあるみたいな。

少しだけ悩んだ結果、
「いいぜ」と言いながら
弁当箱を差し出してきた。

「さんきゅ!」

俺は玉子焼きを箸でつかみ、
口に運んだ。


bkm

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -