「はい、お待たせー」
「ありがとうございます」
「うまそー!」

ゴトン、と音を立て
目の前にソバが置かれた。

「すみません、
泊まらせて頂いた上に
ソバまでご馳走になって」
「いいのよー風丸くん。
それに年越しソバは恒例でしょ?」

風丸はそうですね、と賛同した。

「じゃ、おかわりしたかったら言ってね」

そう言って母さんは
台所へ戻った。

目の前にはソバはソバでも
年越しソバと
様々な種類の調味料が鎮座している。

「あ、紅組勝ったみたいだぜ」

風丸の言葉でテレビを見た。

「紅組優勝かあ」

独り言のように呟いて
俺はまた前を向いた。

「あ、風丸、
あそこにあるティッシュ取って」
「はいはい」

風丸がこたつから出て
取りに行っている間に
七味唐辛子を
風丸の分の年越しソバに
どばっと大量に投入した。
箸で混ぜてわからないようにし
音がなるべくしないように
そっと箸を置いた。

「ほら」
「ありがと」

使い道の無いティッシュを一枚取り出し
無理矢理鼻水を出した。

「じゃあ食べようぜ」
「おう!」

(ひひ、辛さに悶えろ)

風丸のリアクションにウキウキしながら
ソバを勢い良く啜った。


bkm

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