「なあ、なあ、はめていいか?」

好奇心が剥き出しの表情で言うもんだから
気迫に押されて何度か頷いた。

円堂は少し震えた手つきで指輪を抜き取り、
俺の左手を手にとった。

薬指に冷たい感触が走る。

「…はまった」

円堂が安堵が混ざった声でそう言った。
ちゃんとはまるか心配だったのだろう。

俺は存在を確かめるように
手を夕焼け空にかざした。

確かにキラリと光るものが
薬指にはまっていた。
俺は思わず見とれ、美しいと思った。

「そ、そんなに高いもんじゃなくて恥ずかしいけど…
って風丸!?」

え?と言葉を発した時
ようやく意味がわかった。
頬に温かな雫が伝った。

「ど、どうしたんだよ」
「え…あ…ごめん、その、嬉しくて」

俺は右手で涙を拭き取った。

「…円堂、ずっと一緒に居ような」

恥ずかしい台詞を思わずさらりと言ってしまった。
でも何故か、直感的に言いたくなったのだ。
円堂は酷く驚いた様子だったが

「当たり前だ!」

そう言って太陽のような笑顔を見せた。
俺も笑った。



―これからも、ずっと。



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これで「お馬鹿にアバンチュール!」は完結となります。
今まで読んで頂いてありがとうございました!
また、お会いしましょう。


bkm

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