あのバレンタインデーの日から
約1ヶ月が経った。
今日は、ホワイトデーだ。

「おはよー風丸!」
「おはよう、円堂」

いつも通り朝の挨拶を交わすと
学校に向かうため歩み始めた。
円堂の隣で歩きながら、円堂の様子を観察する。

―いつも通りだ。

至って普通。今日も元気だ。

1ヶ月前、バレンタインデーの日に
円堂はチョコを忘れたから
ホワイトデーにお返しすることを約束した。

俺が見る限り、渡すような雰囲気は見受けられない。
また忘れたんじゃないか…?
と、突如不安になってきた。

「…聞いてる?風丸」
「え!?あ、ごめんボーっとしてた」

つい考え込んでしまった。
誤魔化そうと笑うと円堂に心配された。
大丈夫だよ、と言ってまた笑った。

そんなことをしていると、
あっという間に学校に着いた。
それからというもの、
1日は早く過ぎていった。
しかし、昼休みになっても
部活の時間になっても一向に渡してくれなかった。

「ホワイトデーは?」と言えば良いのだが
さすがにそれはせがんでいるみたいで言えない。
ただひたすら待つしかなかった。

―もしかして俺、焦らされてる?

円堂にそんな器用なことが出来るのか
と、感心した。



ついに部活が終わり、
空は既にオレンジ色で染まっている。
まだ、円堂は動かない。

余談だが、1ヶ月前円堂以外から
チョコは受け取らないし、あげないとは言ったが、
マネージャーからは貰った。
というか、サッカー部員皆にあげていた。(当たり前か)
貰いっぱなしは悪いので、マネージャー全員にお返しを渡すと
俺はユニフォームを脱ぎ、
さっさと制服に着替えた。

ちょうどボタンをしめ終わると
円堂が制服姿で駆け寄ってきて
「帰ろうぜ!」と誘われた。
もちろんオッケーをする。


bkm

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