「…ぁ、は、話を聞け!」

俺は風丸の叫びも聞かず
何度も唇を重ねた。

「えんっ………ふぁっ」

一瞬の隙を突いて
素早く舌を入れ、絡めた。
いやらしい音だけが
しん、とした屋上で聞こえる。

「…ぁ、………はぁ、」

胸に叩かれている感触があるが
あまりにも弱々しいため
気にならない。

俺はゆっくりと唇を離した。

「…ひぁ…え、えんどぉ………」
「何だよ」
「…話を…聞けー!!!!!」

耳を引っ張られ近くで叫ばれた。
耳が痛くなる。

「うわっ、か、風丸?」
「お前は、は、話、聞かなすぎなんだ!」

息を乱した風丸は
深呼吸をして、
言葉を一つ一つ紡ぐように話し始めた。

「確かにある女子に呼び出された。
で、告白もされた。認める。
でも!チョコ受け取ってないし
告白はOKしてない!」
「…ほんとうか?」
「本当だよ。まじまじ。
…ったく…」

はあー、と大きい溜め息をついた風丸は
ポケットから綺麗にラッピングされた
チョコを取り出し
俺にずいっと差し出した。
一瞬意図がわからなくてぽかん、とする。

風丸は少し赤くなって
「…受け取れよ」とちっちゃな声で呟いた。

「………!あ、ありがと!」

俺は両手で受け取った。
やばい、めっちゃ嬉しい。

「お、俺は円堂にしか渡さないし
円堂からしか受け取らないから」
「……か、風丸…。
…ああああああ!!!!!」

叫び声によってムードをぶち壊してしまった。
風丸が驚いて肩を揺らした。

「チョコ…用意してません…」
「…………だと思った」

風丸は苦笑いをした。
最低だ、俺。
そこでピコンッと電子音が鳴りそうなくらい
良いことを思いついた。

「じゃあホワイトデーに
何かプレゼントする!」
「あ、それ良いアイデアだな」

たまには良いこと思いつくじゃないか、
と風丸は言った。へへ、と笑う。

「楽しみにしてろよ!」
「ああ。今度こそ忘れんなよ?」
「ど、努力します」



ホワイトデー、何あげようか。
ああ、風丸のチョコ早く食べたいな。

そんな思考を授業中巡らせていたら
先生に「何にやけてるんだ」と怒られ
クラス中で笑い声があがった。





‐‐‐‐‐‐‐‐
最初はホワイトデーじゃなくて
俺がプレゼント!でした。
ホワイトデーに繋げたかったんです。
と、いう訳でホワイトデーに続きます。
ホワイトデーはこのシリーズの
最後のお話の予定です。


bkm

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