「たーまやー!」
「あっちょっお前こっち向けんな!」
「こらー!木暮くん!」
「ちゃんとこのバケツに入れてくださいねー!」

暗闇の中で
花火の光と賑やかな
チームメイトの声が交差する。

夏休みが始まって間も無い頃
誰から始まったのかわからないが
「花火がしたい」という話が持ち上がった。
なら折角だから皆でやろう
ということになり、
今に至る。

それにしても暑いのに
こいつらは何故こんなにも元気なのか…。

さっき「暑そうだから」と
木野から貰ったピンで
前髪を上げてとめた。

(お、よく見える)

慣れない感覚に
目を何度か瞬きさせていると
誰かが近付いてくる音が聞こえた。

「風丸、花火しないのか?」
「円堂。ちょっと休憩」
「そっか」

そう言いながら
円堂は俺の隣に立った。

「あ、そうだ!
あそこの石段で
線香花火でもしないか?」

「のんびり出来るしな」と付け足して
そう提案してきた。
俺は快く了承した。



石段に座って待っていると
線香花火2本とチャッカマンを持った
円堂が走りながら来た。

「お待たせ!」

そう言うと円堂は俺の隣にどすんと豪快に座った。

「はい」
「ありがと」

円堂から線香花火を受け取り、
チャッカマンで火をつけてもらった。
円堂も自分の線香花火に
火をつけた。

ジジジ、と音と共に
光が灯る。


bkm

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -