「と、いう訳だ」
俺は話しっぱなしで乾いた喉に
味噌汁を流し込んだ。
「その出来事が尾を引いて
現在も続いているのか」
「まあ今もいっちゃん呼びだったら
少し恥ずかしいな」
鬼道はそう言って苦笑した。
「あーでも懐かしいな」
「今となっては恥ずかしいけどな」
風丸は照れた様子で
頭を掻いた。
俺は久しぶりに
風丸をあのあだ名で呼びたくなった。
「いっちゃん」
「なっ!や、やめろよ」
風丸は目を見開くと
照れ隠しで目を逸らした。
「いっちゃんも
俺の昔のあだ名で呼んでみろよ」
「いーやーだー」
聞こえなーい、と
自分の耳を手で塞いでる。
「呼ばないと絶交」
「は」
にやり、と笑った。
風丸の顔はたちまち赤くなり
俯いて表情が見えなくなった。
「なーなー」
「…………………ま」
耳を澄まさないと聞こえないような声で
「…まもるくん」と小さく風丸は呟いた。
「………!いっちゃん!」
俺は身を乗り出して
風丸…いっちゃんに抱きついた。
「うわっ、やめろよ!恥ずかしい!」
「いーじゃん。な、もっかい呼んで?」
「いやだ」
「お願い!」
「いーやーだー」
「絶交」
「……はあ……。
……………まもるくん。
充分か?」
「んー、後100回!」
「はあ?!」
俺たちはギャーギャーと
言い争いを続けた。
「…なあ豪炎寺」
「…なんだ」
「…このバカップルどうにかしろ」
「…いや、無理だな」
視界の端で
鬼道と豪炎寺が溜め息をついた。
‐‐‐‐‐‐‐‐
ラブ度がちょっと足りなかったかも。
この後一日中あだ名で呼び合うといいよ。
だんだんと豪と鬼は
円風を見守る立場という法則が
染み付いてきた(笑)
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