「…風丸?」
「へっ?!あ、いや、なんでも…ない」

風丸の言葉は尻すぼみしていて
最後の方はうまく聞こえなかった。

それにちょっと頬が赤い。

「…どうしたんだ?」
「………………………………」

風丸はフォークで
ケーキの切れ端を刺したが口に運ぶことはなく
ついに顔を俯かせ黙ってしまった。

「風丸?どうしたんだ?吐きそう?」
「……………………………」

次の瞬間。

風丸はフォークをぐるん、と動かし
俺の顔の前でピタリと止めた。

「…か、風丸、さん?」
「…………………あ、あ、あーん」
「……………………へっ」

幻聴かな、
今「あーん」という
所謂バカップルがやるような
声が聞こえたんだけど。

「…………………あ、あーん」
「………………………………」
「…………………………あーん」
「………………………」
「………ひ、酷いよ円堂」

風丸の目に涙が滲んだ。

「わ!ごめん!ごめん!」

俺はとっさに急いで
風丸の涙を服の裾で拭いた。

「でもなんで、急に」
「…だって久遠としてたじゃん」
「え」
「パフェ。してたじゃん。
鼻の下伸ばしやがって」
「あ、あれは」
「知ってるよ。リカの入れ知恵だろ?
…でもさ」

風丸は納得がいかないというように
目を逸らした。

(…………あ)

ぴこーん、と思いついた。

「……風丸、嫉妬してんの?」
「なっ!違う!」

そう言いながらも
顔は赤い。図星のようだ。
ケーキを刺しているフォークが
ゆらゆらと揺れている。

身を乗り出して
「あーん」と言いながら
ケーキをくわえた。

「…………なっ…!」
「ん、んまい」

俺はにこりと笑った。

「………ばかやろう」

ぷいっとそっぽを向いた。
照れてる照れてる。

(こんな風丸が見れて
良いクリスマスだ!)



メリークリスマス!



‐‐‐‐‐‐‐‐
アニズマ含まれてましたね。
書いた後気付きました。
今回も良い感じにバカップルですね!


bkm

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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