「カップルでさ、
男って絵文字使うのかな」

俺の部屋で携帯をいじっている風丸は
唐突にそんなことを言った。

「え、…さあ、人それぞれ?」

「円堂は使わないよな」

「だって苦手なんだよ」

俺はあのチカチカした絵文字が嫌いだ。
いや、むしろメールをあまり使わない。
だってメールするより
電話の方が早いし。

「ま、俺も使わないけどさ…。
使うやつって彼女にどんなメール
送ってるんだろうな」

「好きだよ(ハート)みたいな」

「送ってみて」

「うん…………は!?」

思わず流れで返事しちまった。
さらっと言うもんだから。

「ラブラブなメール、
送ってみて、今」

風丸はベッドの上で
ゴロゴロしながら言った。
くっそ、可愛い。

風丸はめったにお願いや、
おねだりをしないので
久々にされた時の破壊力は半端ない。

「なー、送ってみてよー、なあなあー」

風丸はベッドの上で寝返って
ベッドのそばに座っていた俺の首に
己の手を絡めた。

「……どうした、風丸」

「どうもしない。
それよりも送れ、さあ」

「……………わかったよ」

「円堂愛してる」

風丸はきゅっと力を加えたので
必然と首が締まる。
「ぐえっ」と情けない声が漏れた。


bkm

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