「…どうしたんだ?円堂」

「えっ!あ、いや…何でもない」

にひっと円堂は笑い
「年明けまで後一分だな」と
携帯電話を開けながら言った。

「もうすぐだなー…
なんか一年が終わるとなんと
ちょっと悲しくなるな」

「だな。
さらば今年よ!ってな」

そんな他愛も無い話をしていると
周りでカウントダウンが始まった。

「うわっびっくりした…」

円堂は目を丸めて言った。

ものすごい熱狂だ。
10!9!8!7!と数字は小さくなっていく。

なんかドキドキしてきた。

5

4

3

2

1

あけましておめでとう、
という新年の言葉は
暖かく優しいものに遮られてしまった。

目の前は円堂の顔のドアップで埋まっている。

しばらくすると
名残惜しそうに唇が離れた。

「…………………え」

ようやく出た言葉、
まさか新年初めの言葉が「え」だなんて。

「風丸、今年も宜しくな」

円堂は耳まで赤く染まった顔を
ふわりと柔らかい表情にした。

(…あ、ジンクス)

やられてから今更気付いた。

「…なんだよ、自分だけかっこつけやがって」

「へへっ」

してやったりな顔で笑うもんだから
お返しに、と唇を重ねた。

円堂はより顔を赤くさせ
口をパクパク開閉を繰り返した。

(これでおあいこだ)


「あけましておめでとう、円堂!」

新しい年の始まり。

‐‐‐‐‐‐‐‐
作品中に出てきたモブキャラ
我ながらムカつきますね…。
雅彦という名前は何となくです。


bkm

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -