互いに氷のように冷たかった手は
合わせることによって
春の日差しのように暖かくなった。
それどころかドキドキしてきて
汗ばんできた。
(ど、どうしよう…)
しかし手を放すなんて
そんな勿体無いこと出来ないので
顔もまともに見られないまま
手をしっかりと握っていた。
沈黙が流れる。
沈黙の理由は照れているというのもあったが
目の前のカップルがイチャイチャしていて
何となく気まずかったからだ。
「ねえ〜、雅彦お〜」
「なんだよ〜」
猫なで声に鳥肌がぞわぞわとたった。
なんだこのバカップル…。
「知ってるう〜?
なんかねえ〜ジンクスがあるらしいのお。
年が明けた瞬間にキスすると〜
そのカップルは一生一緒に居られるんだってえ〜!」
「じゃあ俺らもやるかあ?」
「やろお〜!なんかロマンチック!」
キャッキャ、ベタベタと
またくっつき始めた。
そんなジンクスあるんだなー
と心中で思いながら円堂をチラ見すると
なんだか考え込んだような表情をしていた。
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