神社に着くと
人でごった返していた。
「うわ、すっげー。
お祭りみてえ」
「だな…」
思わず感嘆の声が出てしまう程
神社は人で覆い尽くされている。
「とりあえず並ぼうぜ」
「そうだな…っと」
人にぶつかってしまい
前によろめく。
バランスを失う身体を
円堂が支えてくれた。
「大丈夫か?」
「ああ。ありがとう。
…それにしてもこれ、はぐれたら終わりだな」
周りは人、人、人の嵐。
見失えば見つからないだろう。
「携帯も繋がんないだろうしな」
年始年末は電話が繋がりにくい。
これは困った…と悩んでいると、
目の前に円堂の大きな手が差し伸べられた。
俺は意味がわからず
頭にはてなマークを浮かべると
円堂は顔をりんごのように染めて
「…はぐれるから手、繋ごうぜ」
と言ってきた。
お前が照れるから俺も照れるだろ馬鹿、
と口には出さずに心の中で呟くと
恐る恐る円堂の手に自分の手を重ねた。
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