あれから商店街などを見回ったが
特に変化は見られない。

そして、あの思い出の場所へ来た。



「ここが、鉄塔広場だ」

「…ここが思い出の場所なのか?」

風丸は不思議そうに聞いてきた。

「ああ。
…サッカー部が部員足りなくて
俺がみんなに呼びかけているとき
風丸は真っ先に手を貸してくれた。

陸上部だったのに
助っ人として手を差し伸べてくれた。
それがこの場所なんだ」

過去の思い出を
一つ一つ思い出すように
ゆっくり言葉を紡いだ。

「ふっ懐かしいな」

鬼道は懐かしむように
オレンジ色に染まった景色を見つめている。

「…記憶を取り戻すには
無くした時と同じくらいのショックが必要だ」

鬼道は突如そう呟いた。

「ということは、
また風丸が交通事故にあえば
記憶が戻るかもしれない?」

「あくまでも仮説だ」

「車にひかれるのはもうごめんだよ」

風丸は苦笑しながら答えた。

「まあ焦らずともやっていこう。
すまない、俺は用事があるんで
先に帰る」

鬼道はそう伝えると
帰って行った。

「またな!」

「またな」

「ああ。またな」

そして二人きりとなった。


bkm

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -