「あー、明日楽しみだな!」
俺は背伸びをしながら言った。
「わざわざありがとな」
「いえいえ、どういたしまして」
俺はにひひ、と笑うと
風丸もほほえみ返した。
「じゃあ、また明日な」
「またな、円堂」
俺は風丸が家に入るのを見送ると
自分の家に向かい歩き始めた。
---------風丸視点--------
「ただいま」
まだ親は帰って来てないようで
返事は無い。
俺は靴も脱がずに
玄関に座りこんだ。
(俺、忘れてた)
(ここに来た目的)
ここに帰って来た目的は
記憶を取り戻すため。
なのに。
記憶を取り戻さなくても
楽しいと感じている。
(もう、このままでいいんじゃないか)
その時、円堂の顔がよぎった。
(そうだ)
(円堂が好きなのは)
(昔の自分で、今の自分じゃない…)
俺は何となくわかっていた。
円堂は俺の中にある
昔の名残を探していること。
俺を見ているようで
奥にいる幼い自分を見ていること。
(モヤモヤする)
(これじゃあまるで)
(自分に嫉妬してるみたいじゃないか)
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