「お母さんから聞いた話だけど
あれは向こうの駅で
俺と合流した時の話らしい」
********
俺は親と合流すると
新居まで歩いていった。
幸運にも駅から近いマンションを
借りることが出来たらしい。
俺は荷物を置き、
横断歩道で青信号を待っていた。
青信号になり、
俺は荷物を持って歩き始めた。
『危ない!』
気が付けば車が迫っていた。
『記憶…喪失?
私たちのことも覚えていないのですか?』
『ええ。
思い出す可能性は…低いでしょう』
意識を取り戻し始めた中、
悲痛な女性の声と
冷静な医者の声が聞こえた。
『一郎太!目を覚ましたのね!
私、あなたのお母さんよ!』
『…………お母さん?』
『そうよ。そうなのよ…』
母と名乗る女性は
一滴の涙を流した。
← bkm →