「でね、円堂くん。
お願いがあるの」
受話器から
少し深刻そうな声色が伺えた。
「え、何ですか?」
「実はね、駅まで風丸を迎えに行って
一日泊めてあげてほしいの」
重大な事だと思っていて
身構えいたせいもあり、
呆気なくてずっこけてしまった。
「もちろん大丈夫ですよ!」
「後ね、迎えに来るのは
…円堂くん一人にしてほしいの」
そのお願い事は少し妙だったが
快く了承した。
だって風丸に会える喜びの方が
大きかったから。
詳しいことは後で連絡すると言われ
二つ返事で電話を切った。
風丸の笑顔や話し声、
匂いが蘇ってくる。
(早く時間よ、過ぎろ)
この時
おばさんの様子がおかしいことに
もっと疑問を持てば良かった。
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