入学式


正十字学園高等部入学式


「ふあーあ、ねむ……」


学園長の長くつまらない話を聞き続けるのは相当体力、精神力ともに消耗する

当然奏はまじめに聞こうとなんか微塵にも思っていなかった

むしろ手短に話せよと逆切れしていた


「なんや眠たそうやなあ」


突然話しかけられて思わずびくりと肩があがった

声をかけてきたのは隣に座っていた男子生徒だ

派手なピンクの髪にどこか胡散臭さを感じるたれ眼が特徴

言葉遣いからしておそらく関西人だろうと奏は予測をつけた


「まあね」


ふわあと欠伸を何とか噛み殺す

まあ一昨日の出来事といい、昨日今日はあまり寝ていなかった

睡眠時間の激減がここに来て祟った


「そういう君も眠たそうじゃん?」

「ほうねんて。やっぱどこいってもお偉いさんの話は長いなあ」

「あーめっちゃわかるわかる、それ」


うんうんと大げさに首を縦に振る奏

さっそくだが、いい友達になれそうな気がした

それは向こう側も察したのか、名前はなんて言はるん? と聞いてきた


「立花奏。君は?」

「俺は志摩廉造ちゅーんや。よろしくな奏ちゃん」

「よろしくね! 志摩君」


こうして奏は高校初の友達が出来た

それからは退屈でまだ続く学園長の話も、志摩との会話で見事乗り切った


「それでは新入生代表――奥村雪男」


名前を呼ばれはいっと立ち上がった雪男は壇上へ上る


「あ! 雪男君だ!」

「え、奏ちゃんあいつと知り合いなん?」

「あたしの友達の双子の弟だよ。すごいなー新入生代表だって!」

「代表ってことはあいつが坊の上を行く超人か」

「ん、盆?」

「ああ、気にせんといて。なんもあらへんし」


奏は尊敬の眼差しで新入生代表の言葉を述べる雪男を見た


奏「(そういえば燐はいないのかな)」


まあここは私立の超エリート校だし、勉強よりも体を動かすほうが得意だった燐には辛い

かなー、なんてね

それにしても本当雪男君すごいなー

なんて考えている間に雪男は新入生代表の仕事を追え、盛大な拍手とともに後段した



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