再会2 side綴


日本支部の最上階、つまりここの最高権力者を示す部屋でお茶会は行われていた

ひとりは黙々と用意されたチーズタルトを口に運び、

ひとりはつまらないというような顔をして、

ひとりは目の前にある紅茶の水面をじっと見つめながら座っていた

そして、招かれざる客がひとり


「まさかこのようなところで会えるとは思わなかったよ!」


その人物こそ、アーサー・A・エンジェル

流れるような金髪を揺らしながら豪快に笑ってる

その正面にいるメフィストはもちろん、綴、雪男は目を合わせようとしない

綴に関してはチーズタルトしか目に入っていない

至極ご満悦そうなアーサーに珍しくメフィストは遠慮がちに言葉を発した


「……ここには一体どういった用で?」

「日本でしか売っていない薬草を取りに来たついでに貴様がなにかしていないか見に来ただけだ」

「ずいぶん信用されてないんですねえ」


眉を『へ』の字にして自嘲気味に言った


「それにしても最年少と準最年少が揃うとはね」


そう言ってアーサー雪男と綴交互に興味深そうに見る


「ああ、それにしても久しいな綴!」


がたんと音を立てて立ち上がり、綴を強引に抱きしめた

アーサーの過度のスキンシップにもものともしない綴はやっぱりもこもことタルトをほうばり続ける


「しつこい!」


だが、あまりのしつこさに限界が来たのか、平手でアーサーの顔面を思いっきり叩いた

叩かれて真っ赤になった鼻をさすりながら渋々自分の席に戻った


「せっかくの再会だというのに相変わらず手厳しいな」

「あなたがうざいからだ」


相手がアーサーだからといって綴に容赦という文字はない

しつこいものはしつこい、いやなものはいやとはっきりしているのだ


「……失礼ですが、お2人はどこで?」


恐る恐る雪男が口を開いた


「おお! 良くぞ聞いてくれた奥村雪男! それは遡ること――」


アーサーは聞かれてもないことを激しい身振り手振りをつけながら話した

が、雪男には何を言っているかさっぱりだった(アーサーの説明が酷すぎたので)


「まあ一年ほど彼の部隊に研修に行っていたんだ」

「そうだったんですか」


いまだアーサーは語り続ける一方で綴はすべてをその一文に纏めた

結局アーサーの話は一時間以上もかかったという

彼の話を止めたのは彼の直属の部下で、さすがに次の予定が押しているということで彼は綴との再会を惜しむように帰っていった


「そうそう、あなたには明日から彼の助手として祓魔塾で働いてもらいます」


和やかに言うメフィストに対し、何も聞かされていないぞ!? といわんばかりに綴は立ち上がった


「フェレス卿、僕もそんな話は一言も聞いていないのですが」

「当然です。だって今決めましたから☆」


この瞬間、綴と雪男の殺気が最高点に達したとか

それを察したフェレス卿は冗談ですよと笑って見せた


「ですが、働いてもらうことは事実です。これからは2人で任務をこなしてもらいます」

「何故ですか……?」

「理由が必要ですか? そうですね、しいて言うなら『祓魔師は一人では戦えない』からでしょう。これでもまだ何か?」


笑顔だが、どこか有無を言わせない強制さがにじみ出ている

雪男はわかりましたとそれ以上何も言わなかった


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