甘く小さい果実を
――それは突然すぎる電話やった


明日は珍しく部活が休みな日曜日

俺は久しぶりにぐっすりと熟睡していた

春の暖かな日差しに照らされてぬくぬくと布団とお友達になっていたときや

俺の睡眠を邪魔するように携帯がけたたましく悲鳴をあげた

どうせ迷惑メールやろと思った俺はそのまま放置

何よりこのぬくもりから目覚めたくなかった

しかし携帯はいつまで経っても鳴り止まない

つまりは電話

そのままさらに放置するも携帯はなり続けた

こうなったら最終手段やとこちらから部ちぎってやろうと布団から手を伸ばした

ところが開いた携帯の画面を見て俺は度肝を抜かれた


「嘘やろぉ!?」


画面に表示された名前は嶺音だった

寝ぼけていた頭が一気に覚醒し、急いで電話に出た

すると、


『遅えよクソが!!』


と、キーンと耳に響くような声が飛び込んできた


『どんだけ俺を待たせれば気がするんだこの似非眼鏡!』

「す、すまん。まさか嶺音からの電話とは知らんかってん」

『そんなもん言い訳にもなんねえから!』


相変わらず手厳しい

この後十分ほど嶺音の説教が続いた


「で、朝から俺に何の用や?」

『ああ、……実はお前にちょっと付き合ってほしいところがあってな』


少し躊躇うように嶺音は言った

な、何や、これはもしかしてデートのお誘い!?


「ええで!」


もちろん断る理由なんかない

むしろ嶺音のほうから誘ってくれるやなんて夢にも思わんかった

それだけで頭がお花畑と化し、その後の話はほとんど右から左へやった


『それじゃあ11時に一階の時計台の前で』

「おう!」


ピッと通話を終えた後、俺は人知れずガッツポーズをした



午前10時40分

ここは男として嶺音より先についておくべきだと思った俺は予定時間より二十分も早く待ち合わせ場所に着いてしまった

前を通り過ぎる女子が何人か色っぽいまなざしで俺を見ていくが、今はそんな小さな相手に気を配っている暇ではない

今か今かと嶺音が来るのを待った

すると、その五分後、10時45分に嶺音が現れた


「ちょっ、お前早すぎるだろ!?」

「いてもたってもいられなかったんや」


普段制服のスカートの下にジャージという実に女の子を感じさせない嶺音だが、狂は一味もふた味も違った

いつもはぼさっとした長めの髪をかわいらしいシュシュでひとつにまとめている

さらに一見地味に見えるショートパンツから伸びる肢体は長く白く程よい筋肉がついていてとても魅力的だ

これだけでも今日来た甲斐があるというもんや


「な、何だよ。そんなじろじろ見るなよ」

「いやあ綺麗な足やあと思って」

「黙れ変態が!」


パンッと左頬に見事な紅葉が出来たのはいうまでもない


「で、行きたいところってどこなん?」

「ああ、そりゃ決まってんだろ?」


嶺音は口元を吊り上げて言った


「テニスショップに決まってんじゃん」


少しでも期待した俺が悪かったわ


「やっぱここのショップは規模が違うな!」


心なしか嶺音の表情も晴れ晴れとして眼もキラキラしとる

結局小一時間ほど俺たちはショップに入り浸った

買ったのは新しいボールと適当なシャツ

途中、「これなんか似合うんちゃう?」とピンクのフリフリのスコートを差し出したところ顔を真っ赤にして顔面グーで殴られた

顔を真っ赤にするところがまた可愛いというとさらに殴られたり


「あー疲れたー」


一通り買い物を終えた俺らは屋上の小さなテーマパークに来ていた


「ほい、頼まれてたチョコアイスクレープ」

「おうさんきゅっ」


俺は嶺音の隣に座ると自分のベーコンエッグクレープにかじりついた


「クレープっつたらこういうのがクレープだろ。そんなん外道だ!」

「ええやん。お腹すいとってん」


解せぬとつぶやいて嶺音は食べ始める


「あ、あっちでマジックショーみたいなのやってね?」

「あんなんただの子供だましやろ」

「ロマンチストがいう台詞じゃねえだろ」


嶺音が遠めながらもそのマジックショーに夢中

というかマジックショーに夢中になるのもわかるけど、たまには俺にも構ってや


「なあ、嶺音」

「……」

「嶺音ー?」

「……」

「嶺音さーん?」

「……」

「嶺音」

「だあもううっせえな! 人が真剣にショーを楽しんでのに邪魔するんじゃ――」


――――


一瞬だけ嶺音の唇から甘い、クレープとは違う甘さが伝わってきた


「ごちそーさん」


最後の最後まで味わうように俺は軽く舌なめずりをした




----キリトリ----
まずは相互ありがとうございました!

お待たせするのも申し訳ないと思ったので全速力で書いた結果がコレだよ!!畜生!!
とりあえず遅筆なので早めにとりかかったのですが、逆に内容が薄いものになってしまいました(汗
すみません
ちゃ、ちゃんとリクエストに沿えているでしょうか……すごく心配です
自分なりに頑張って甘くしようとしたのですが、『なんじゃこりゃあ!』ってなりました
ひねりのなさに涙が出ます……
精進します

もし何かありましたら遠慮なく「ここどうなってんだよ!?」と怒鳴り込んできてもかまいませんので!

これからもこんな未熟な私ですが、よろしくお願いします
それでは失礼します

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