絶対不可逆的とおりゃんせのはじまり

薄暗い夜道を4人の少女が行く


「いやはや楽しかったねー」

「ねー。今時あんな感じの縁日が残ってるとはねー」


先頭を歩くは環と梓

その身長差、およそ20cm


「もごもごもっちゃもっちゃもぐもぐ!」

「おめえは食べてから喋れ!」


縁日で買ったたこ焼きを貪りながら喋る棗に楓のスパンッと小気味いいツッコミが夜道に響いた


「また今度行きたいね」

「みんなの予定が合えばね」


4人は中学からの付き合いである

高校以降はみなそれぞれの道を歩くことになったが、それでも4人の仲はずっと続き、それは今現在にも及ぶ

一見、ただの少女たちに見えるが、彼女らには人には言えないある秘密があった


「バスまだ合ったっけ?」

「確かラスイチあったと思うけど」


ちなみに今日、四人は運良く全員の予定が空いていたので、縁日に来ていた

遠ざかる縁日の喧騒

随分と寂れたバス停で立ち止まる一行

梓が晒されて霞んでしまった時刻表と現在の時刻と確認する

すると左側からプーッという音と共にバスがやってきた


「お、ナイスタイミング!」


ぷしゅーと息を吐いて4人の目の前で止まるバス

棗、環、楓の順でバスに乗り込んでいくが


「あれ? でも、今の時間帯は――」

「細けえこたあいいんだよ! ほら、乗るよ!」


楓は何故か戸惑う梓の手を引っ張り、無理やりバスの中へ引き込んだ

再び息を吐いてバスは出発した

乗客は彼女ら4人以外誰もいなかった

せっかくなので4人は一番後ろの席を占領することに


「あーどっこいしょぉ」


弱冠18にしてこの溢れ出る貫禄を持つ環


「環おばあちゃん大丈夫?」

「湿布貼ろうか?」

「グルコサミン足りてる?」


上から梓、棗、楓


「よーしお前らそんなにバスから投身したいかー。全員引きずり下ろしてくれるわ!」


なんていうやり取りもいつものことで笑い合う4人


「はあ……まあとりあえず疲れたからわし寝るわ」

「おやすみー」

「あ、じゃあうちも寝るー」

「自分もー」

「結局全員寝るんかい!」


と、梓が突っ込んだ頃には既に3人は夢の世界へ飛び立っていた

「早っ」と呟いて結局梓も三人を追うように目を閉じた


Quartetto
カルテット:四重奏




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