Nowhere...?跡地 | ナノ






訪問者


ATTENTIONS!

・表紙のATTENTION!にも書いてありますが、再度ここで注意を
・この話含め、この物語はオリジナルストーリーです
・残念ながら今回は原作キャラは一切出てきません←
・しかも主人公の他にオリキャラが登場します(そういえば初登場の時に勧告するの忘れてた←
・というか見直すことすら諦めているので色々とおかしいところがあると思いますが、目をつぶっていただけるとありがたいです

以上、万全の体制でおk! と胸を張って言える方のみお進みください

















あれから有梨は部屋から出てこなくなった

当然だ

唯一血の繋がった弟がいなくなったのだ

有梨にとって自分の半身だったと言っても過言ではない

一応毎回ご飯の時に声をかけるが返ってくるのは無言だけだ

だが、識はそれ以外は一切干渉しなかった

だからといって有梨がどうでもいいというわけではない

幸村と考えていることは同じで、これは赤の他人がそう安安と突っ込んでいい問題ではないと考えているから

きっと今も終わりのない自責を続けていることだろう

当事者の心中などいくら考えたところで所詮他人は他人なのだ

と、ここまで考えて識はあえて思考を放棄した


「本当我ながら嫌な性格してるよねえ」


――そう屁理屈を捏ねて有梨に話しかけることから逃げているだけ

すっかり冷めてしまったお茶に映る自分に言った

すると、滅多に仕事をしないインターホンが来客を告げた

うっかり「ぎゃぁっ!?」と情けない声が出てしまったが、幸い誰も聞いていないことに安堵し、備え付けのモニターを見る

モニターの向こう側の人物は「やあ」と片手を上げる人物を確認すると「いま開けます」と玄関へ走った


「いや〜突然押しかけちゃって悪いなあ」

「いえ。あ、お茶とコーヒーしかありませんが、どちらがお好みで?」

「お気遣い無く……と言いたいところだけど、お言葉に甘えてお茶もらえる?」

「麦茶でよければよろこんで」


からんとコップの中の氷が音を立てた


「有梨ならずっと部屋に篭ってますよ」

「……察しがよくて助かるよ」


来客の目的など本人の口から聞かずともわかっていた

目の前の彼――七森良(つかさ)は有梨の兄だ

といっても血は繋がっていないので『義理』の兄である

良とは先日の優雨の葬式で顔を合わせたばかり


「……当分出てこないと思いますよ」


識の言葉に良は曖昧に笑った

その表情からは悔しさが滲んでいる


『自分にできることは何もないのだ』


識だけでなく彼もまた同じ思いを抱いていた

引き取られて間もない有梨と優雨の心を開いたのは他の誰でもない、良だった

時間こそかかったが、彼は努力を惜しまなかった

彼もまた、経緯は違えど、残された者の苦しみを知っていたから


「……あの時は優雨がいてくれたから。改めてあいつの存在の大きさを思い知らされるよ」


良の努力もあったが、それ以上に有梨が心を開くのには優雨という存在に救われた

有梨が良の声に応えたのは優雨がその橋渡し役になってくれたからだ


「何もしてやれない自分に腹が立つ」


識は彼の言葉に静かに首肯した


――――――

――――

――


弟の優雨が亡くなって、兄の良が来てから三日たったある日の夕方だった

なんの前触れもなく有梨はまるで幽霊のようにのっそりと部屋から出てきた


「悪い、心配かけて。もう大丈夫だから」


にへらっと精一杯の笑みを浮かべる有梨だが、説得力は皆無だ

だが、識はその言葉を信じようと、「……うん、わかった」と返した

本音を言えば少なくとも夏休みの間はずっと引きこもっていると思っていた


「……なんか食べる?」

「そうだなあ。じゃあカレーが食べたい」

「はいはい。時間かかるけどいい?」

「別に構いやしないよ」


そう言って識はキッチンに立つ

有梨はソファに全体重を預けるとテレビのスイッチを入れた

流れてくるニュースを右から左へただ聞き流す


「なあ」

「ん? 何?」

「何か変わったことあった?」

「そうね……強いて言うならわかめくんのわかめが元気なかったことかな」


昨日所用があって学校に行ったとき、たまたま部活に向かう途中の彼を思い出しながら言った

とんとんとんと小気味いい音が響く


「ぶっ」

「ちょっ、汚っ!」

「言うとこそこかよ、ふっふっふはははっ」

「し、仕方ないじゃない。この前見たときやけに萎れてたんだから」

「……そっか」

「あ、いま、らしくないこと考えてたでしょ」

「ちょっ! お前サイコメトリーかよ」


ふふっと識の笑い声が聞こえた


「伊達に長いこと一緒にいないわ」

「……なんでもお見通しってわけか」

「そういうことよ」







「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -