Nowhere...?跡地 | ナノ






遅刻日和


彼女―四条識―の一日はまず必ずと言っていいほど遅刻から始まる


「やっば、遅刻遅刻ー」


なんて口では言っているけど、動いてる足は少しも急ごうとしていない


「おはよー」

「おはよう」


出会ったのは同じく遅刻常習犯の七森有梨だ


「今日から新しい学校だっけ?」

「そういえばそうだった」

「初日から遅刻とはやるようになったね」

「お互い様でしょ?」


そう今日は二人にとっての転校初日だ

なのにも関わらず二人は全く急ごうとしない

一歩ずつゆっくりと歩いていた

学校に着いた時には既に一時間目が終わったあとだった

がやがやと休憩時間で騒がしい中でも堂々と中へ入っていく二人

順調に思えた二人だったが……


「完全に迷ったな」

「迷ったね」


迷子になったそうです


「元はと言えば有梨がこっちっていたからじゃん!」

「っるさい! 識だって黙ってついてきただろ!?」

「それはあんたの方向音痴を心配してのことで離れ離れになるよりは固まって行動したほうがいいって考えたからだよ!」


ぎゃあぎゃあと廊下のど真ん中で喧嘩をはじめる二人

周りは間に入ろうにもなかなか入れずにいた

そんなとき一人の生徒が二人に声をかけた


「君たちこんなところで何しているんだい?」


現れたのは青にウェーブのかかった男子生徒

胸元の校章には三年C組とあり、上級生のようだ


「見たところ君たちは二年生のようだけど」


ああ、えっとと戸惑う有梨に識が出た


「わたしたち今日転校してきたんです」

「転校生? 珍しいね」


そうなんですか? と珍しく敬語で言う有梨


「知っての通り立海って超難関校だからね。推薦とかないと入れないんだ」

「へえー」


識が小声でそれぐらい知っておきなさいよと突っ込んだ


「転校生ってことは迷ったのかな?」

「ええそうなんです。前板学校とは大きさも全然違いますから」

「職員室ならここから一つ降りた二階だよ。あ、もしよかったら一緒に行こうか。俺も今から行くところだし」

「おおそれはありがたい」

「よろしくお願いします」

「それじゃあいこうか」


ふふと彼は笑いながら三人は職員室へ


行く途中いろいろと話、それによると彼は男子テニス部だということがわかった

名前は幸村精市という


「はい、ここがそうだよ」


幸村が指さす先には職員室と書かれたプレート


「ありがとうございました」


丁寧に深々と礼をする識

そんな彼女に幸村は優しくどういたしましてと言った

彼は職員室に隣接している学園長室に用があったらしい


「何はともあれ無事到着〜」

「一体誰のせいだと……」


こうして二人は無事に職員室へたどり着いたのだった






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