Nowhere...?跡地 | ナノ






夏期補習


待ちに待った夏休み

宿題はさておきやっふー! かと思いきや


「何で補習なんかあるんだよォォォォォォォォォ!?」


最近の有梨はよく叫ぶようになりました(笑)


「うっせえよ。黙れ」

「……しかも何でわかめと一緒なんだ」

「おい、そこ。しゃべる暇あるなら手ェ動かせ」


小学生じゃあるまいし、何でこんな奴と机くっつけなきゃいけないんだ……

しかも補習だからって教室のクーラー切りやがって……

何なんだマジでちくしょう

今日の補習は英語の補習のため、クラスの中でも特に悪い切原と有梨が呼び出されたのだった

本当なら前のテストで赤点を回避し、補習も回避したはずだったが、授業態度が悪いと特別に呼び出された

当然成績上位者の識はいない

開けっ放しの窓からは生ぬるい風しか入ってこないため、余計暑く感じる


「……なあ七森、『コメ(come)』の過去形ってなんだっけ」

「はあ? お前そんなことも知らねえの!? 『稲』だよ『稲』。米の前は稲だろ?」

「ちげえよ! 米じゃなくて『コメ(come)』だ!」

「知るかよ! 俺に聞く前に自分で調べろ!」

「お前らいい加減にしろ!」


スパパンッと小気味いい音が教室に響いた


「切原! 『コメ』じゃなくて『カム』だ! 七森! お前comeの過去形がマジで稲だと思ってんの!? それ何のギャグだ!? ああん!?」


識の代わりに先生が鋭い突っ込みを入れた

先生お疲れ様ですといいたいぐらいだ


「ああもうお前らには難しすぎたな。とりあえず先にこっちのプリントをやれ」


と、渡されたのは

『小学生でもわかるえいご!』

と書かれたプリントだった


「いいか、今から三十分以内にそれを終わらせろ。終わったら職員室まで呼びに来い。いいな?」


叩かれた頭を押さえながら2人は頷いた

そして先生は一人、職員室へ涼みに行った(職員室は冷房付いている)


「しっかし、先生もなめたもんだよなあ。コレぐらい速攻で終わらせてやんよ!」

「どっちが速く終わらせるか勝負しようぜ七森?」

「はっ、目に見えた勝負だな。当然オレが勝つに決まってんだろ?」

「どうだろうな。これぐらいなら俺だって軽くいけるぜ」


ばちばちと火花を散らす両者

かちっと教室の時計の秒針が12をさすのと同時に2人はプリントに取り組み始めた


――――――

――――

――


「っしゃあ! 終わった!俺の勝ちぃ!」

「なん、だと!?」


なんと先にプリントを仕上げたのは切原のほうだった

僅差でこの勝負、切原が勝利した


「やったぜ! 七森に勝った! うえええええええええい!!!」

「畜生! まさかわかめに負けるとは……!! 一生の不覚!」


まさかの敗北に有梨は自身の頭を何度も机に打ち付けた


「はっ、いや。まだだ! これは先生に提出するまでが勝負だ! というわけでおっさきー」

「な、ちょっ。ずりいぞ!?」


フライングで先に教室を飛び出した有梨は全速力で職員室へ向かう

後ろから切原が「待てえええええええ!」と髪の毛を揺らしながら追いかけてくるが、


「誰か待てって言って待つものか! バーカ!」


後ろを振り向きながらあっかんべーをする有梨

それが切原に更なる闘志を燃やした


「こンの野郎!! テニスで鍛えたこの足をなめんなよォォォォォォ!!」


まるで某髭男のカートゲームのきのこを使ったかのように切原のスピードが上がった

ひらいていた距離をあっという間に詰め、とうとう2人が横一列に並んだ

有梨も負けじとこの均衡状態から抜け出そうとするも並んでいるのが精一杯だった

そして、


「「先生っ!!」」


同時に職員室に飛び込んだ

何事だ!? と先生が目を丸くして2人をみた


「「どっちが速かった!?」」


すぐにこの2人が競争していることを察すると、


「わずかに七森のほうが速かった気がするが……」


と言葉を濁した

その言葉に有梨はガッツポーズ、切原はその場に崩れ落ちた


「この勝負、オレの勝ちだな」

「くそっ!」


にやにやと切原を見下す有梨だったが、先生がそれに水を差した


「いや、引き分けだな」

「え……?」


返されたプリントには赤いペンで再提出と書かれていた


「お前らもう一回やり直して来い!!」







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