Nowhere...?跡地 | ナノ






練習試合D


ちょうど準決勝まで進んだ頃には太陽が一番高いところに昇ったので、昼食をとることに


「あーなんか暑すぎて食欲ないわー」

「ここで食べておかないとあとでぶっ倒れるわよ」

「へいへい」


弁当の蓋を開けようとすると、突然背中に重い何かを感じた


「有梨ー! 一緒に食べよー!!」


首だけ動かせば芥川が抱きついてきたというのがわかった

ずっしりと芥川の全体重が有梨にのしかかる


「ちょ、重たいですって。どいてください」

「有梨がいいよって言うまでどかなE」

「あーもう、わかりましたわかりました。いいですからどいてください」

「本当!? それじゃああっちの木陰で待ってるからー」


そう言って芥川は一時退却


「はあ……あ、そういうわけだから芥川先輩と食べるわ」

「いってらっしゃーい」


お弁当を持ってかったるそうに有梨は芥川のあとを追った

残されてしまった識は特に気にした様子もなく人気がなさそうなところを選んでそこでお昼を食べることにした

有梨が芥川と合流すると、ほかにも2人いた


「えっと……」


芥川と日吉はわかる

だがあとちっさい前髪ぱっつんの人がいる

全く名前が思い出せない

というのも、まあはじめから覚える気などさらさらなかったわけだが


「何だよ名前覚えてねえのかよクソクソ」


おかっぱの男子がそう言うと


「じゃああれだけの人数を一度聞いただけで覚えられるんですか」


と、ちょっとキレ気味に言った


「う、ちょっと無理かも……」

「でしょう。というわけで自己紹介してください」


敬語なのにどこか上から目線の有梨


「向日だ! よく覚えておけよクソクソ」

「はいはいわかりましたよぱっつん先輩」

「はじめから違うから!!」

「うるさいですよ。ご飯美味しくなくなるじゃないですか」

「さっそく二人とも仲Eねー」

「よくねえから!」

「本当にうるさいですよ」


日吉の威圧感ある言葉にぐうと向日は黙った


「ねえねえ有梨はテニスできるのー?」


芥川がお弁当のハンバーグを飲み込んでから言った


「まあ人並み程度なら」

「さっき跡部さんから少し聞きましたけど、全国レベルなんだろ?」

「んなとこなんで聞くんだよ……」


半分呆れながら、半分勝手に漏らした跡部を呪いながら有梨はウインナーを口に運ぶ


「ならなら後で俺とやろ!」

「え、お前テニスできんの!?」

「で、本当はどのくらいできるの?」

「そうですね……うちのわかめくんを倒す程度ですかね」

「俺はスルーかよ!」


見事にスルーされてしまった向日は肩をすくめて黙々とごはんを食べる

同じ二年の赤也を倒したと聞くと日吉が少し興味を示しだした


「まあ先輩は無理でもぴよっしーには勝てるかな」

「……聞き捨てならないな。お前が俺に勝てるだと? 笑わせるな。つかなんだぴよっしーって」

「いやいや事実を述べたまででっせ」

「なんで語尾が『でっせ』なんだよ」


と、向日が冷静に突っ込んだ


「細かいこと気にしちゃダメですよおかっぱ先輩」

「だ〜か〜ら〜誰がおかっぱだ!」


いやどこからどう見てもおかっぱだよという芥川と日吉の心の声は残念ながら向日にとどくことはなかった


「ならばどっちが強いか勝負しようよ」

「望むところだ」


日吉の瞳に静かな炎が灯った瞬間だった







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