Nowhere...?跡地 | ナノ






練習試合C


「げ、ドリンク全部切れた」


有梨が芥川を探している間、識はドリンクがすべて切れたことに気がついた

空になったボトルをある分すべて集めて水道まで持っていく

粉を入れては水を足して味を確認する


「どっこらしょっ」


我ながら少々ババくさい言葉が出てきてしまったが、誰もいないから大丈夫かと思っていたが、


「なんやずいぶん年寄り臭いなあ」


聞かれてたああああああああああ

識は心の中で盛大に叫んだ

だが顔には全く出さない


「忍足さん……でしたっけ?」

「ほうや。よう覚えとったなあ」

「すみません。勘でいいました」

「あ、そうなんか」


どこか居心地の悪さを感じた識はドリンクを抱えてその場を立ち去ろうとする


「手伝うで」

「これぐらい持てます」

「そないな細い腕で全部持てるはずないやろ」


と言って強引に識からドリンクを奪い取った


「あ、ちょっと」

「ほら、はよ行かなみんな待っとるで」


忍足はひとりですたこらと行ってしまい、識は急いでそのあとを追った


「どうしてマネージャーなんか引き受けたんや?」

「は?」

「いやちょっと気になっただけや」

「別に特に理由なんてありませんよ。頼まれたので引き受けたまでです」

「へえ。テニス部と仲ええんやね」

「特別仲がいいというわけではありません。わかめくんが有梨に因縁があるだけで、わたしはおまけです」

「なんや誰かの彼女さんかと思ったんやけど」

「はあ?」


あからさまには、この人何言ってんの? みたいな顔をしている識を見て忍足は吹き出した


「まあさっきも有梨と話してましたけど、顔はいいですけど性格がね問題ですね」

「ずいぶんはっきり言うなあ」

「だいたいどこか秀でてれば必ずほかのところで劣るものですよ」

「んーまあ確かに一理あるわ」


この時忍足の脳裏に浮かんだのはあの跡部だった

自己紹介の時の跡部は今まで見たことないぐらい酷かった気がする


「じゃあ付き合っておらんの?」

「いません」

「寂しい青春やなあ」

「余計なお世話です」


話すのがだんだん面倒になってきた識は歩くスピードを上げた


「ちょ、待ってや!」


忍足が横に並ぶ前にさらにスピードを上げる

ようやく忍足が識に追いついた頃にはすでにコートに着いていた


「あ、忍足さん遅かったですね」

「……自分、早すぎるわ」

「そのままそれ氷帝の皆さんに渡しといてください。次、部長と副部長の身内合戦のデータ取らなきゃいけないので」


それじゃあよろしくおねがいしますと一度頭を下げて、バインダーとペンを持って識はコートへ入っていった


「……なんかいいように使われたような気ぃするわ」


このあと向日に何つったんてんだよクソクソと罵倒されたのは言うまでもない







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