Nowhere...?跡地 | ナノ






練習試合B


「それじゃあアップから始めようか」


コートの周りを軽く走ったり、二人ひと組でストレッチを始めた

有梨と識は手際よくドリンクを作ると、試合が始まるまでずっと木陰にいた


「こうして見ると結構なイケメン揃いだよなー」

「黙ってればイケメンなんだけどねー」


何人か性格に難ありなんだよねーと識はさらに付け加える

入念にストレッチをしたあと、ついにメインの二校ごちゃまぜのトーナメントが始まった

基本的に柳がデータを取るが、有梨たちもある程度記録を取る

ボールを目で追っては、各々気づいたことをメモした

さすが全国レベルというほどで、どちらも負けず劣らずの激しいラリーが続く

一セットが終わるたびにタオルやドリンクを手渡す


「えーと次は……丸井先輩と――」

「『あくたがわ』よ」

「わ、わかってらあ!」


すでに丸井はコートで軽くすぶりしているが、芥川の姿はない


「芥川先輩ならさっき木陰で寝てるの見た」


きのこヘアが特徴の教えてくれた


「え、何。これ、オレが呼んでくる流れ?」

「あんた以外誰が行くのよ」

「おーい、こっちドリンクくれ」

「あ、はーい。いま持っていきます。そういうわけだから」


ぴゅーと識はドリンクを持って呼ばれた方へ走っていった

取り残された有梨はため息をひとつついてから


「まあいいや。ありがとう。えっと……」

「日吉だ」

「ぴよし?」

「ひ・よ・しだ」

「ああ、ありがとうございます」


芥川を呼びに行こうとすると、待てと引き止められた


「なんすか」

「タメだから敬語使うな」

「なーる。じゃ、気を取り直してありがとう日吉」


意外と芥川は早く見つかった

木陰で気持ちよさそうに寝ていた


「芥川先輩、次試合っすよー」


声をかけてみたが、反応はない

さらに二回三回声をかけるがやはり反応はない

仕方がないので無理やり起こすことに


「さきに謝っておきます。すんません先輩」


そして有梨は両手を構え、そのまま芥川の腹に……


「ぐふうっ!」


一気に覚醒した芥川は体を起こし、咳き込む


「ちょ、俺の昼寝の邪魔をするのは誰ー?」

「お昼寝の邪魔してすんません。でも先輩次試合ですよ」

「え、マジ?」

「マジっすよ」


呼吸が落ち着いたところで伸びをする


「えっと、誰?」

「一日マネの七森っす」

「そうそう有梨だったー」

「なんで名前の方覚えてて苗字の方忘れてるんすか。普通逆でしょう」

「細かいこと気にしなEー」


ほぼ初対面なのに馴れ馴れしい人だなあと思ったが、まあ若干寝ぼけているんだろう

芥川はよいしょと立ち上がりもう一度伸びをする


「わざわざ呼びに来てくれてありがとー」

「そう思うなら最初からコートの近くにいてほしいです」

「なかなか毒舌だCー」

「そうっすか? 識のほうが数万倍毒舌っすよ」

「ふうん」

「ほら行きますよ」







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -