Nowhere...?跡地 | ナノ






練習試合@


そしてあっという間の土曜日

その日は一段と太陽が爛々と輝いていた


「あっつー……」

「やばい。この暑さはマジでやばい」


練習が始まる前からこの調子の二人

動く前から汗だくだくだ

部室があるが、現在進行形で部員たちが着替えているので入れない


「ところでその練習試合の相手ってどこだろうね」

「そりゃあやっぱ全国レベルだろ」


識は持参してきた黒の扇子で仰ぐが来るのは生ぬるい風だけ

うだうだとしていると何人か着替え終わったようで出てきた


「うわあっつ!」

「やべえなあこれは」


出てきたのは丸井&ジャッカルペア


「ようお前ら。今日はシクヨロな」

「先輩、うざいっす」


かっこよくウインクを飛ばすが、暑さという壁に見事に跳ね返された

さっそく出鼻をくじかれた丸井は済でいじけ始めた

もちろんそれをフォローするのもパートナーの役目である

ジャッカルが必死に丸井を励ます中、続いて出てきたのは仁王と柳


「なんじゃ、どうかしたんか?」

「いえべっつに何もしてませんよー」


わざとらしく肩をすくめ知らないふりをする

柳は識に同じ意味を込めた視線を送ると、ただ察してくださいとだけ言われた

それだけで二人はある程度理解したようで、なるほどとかぴよっとつぶやいた


「悪いが、ネットの調節をしてきてくれないか」

「はーい」


今にも死にそうな声を出しながら有梨は立ち上がった

続いて識が立ち上がろうとするが、


「うわっと」


その体が右に傾くが、ほんの少しだけで特に倒れたりすることはなかった


「大丈夫か?」

「はい。ただの立ちくらみですから」


ゆっくりと立ち上がれば問題なかった

言われた通りにネットの調整を行う

たるまないようにしっかりと張っていると、外野が騒がしくなってきた


「あ、来たんじゃない?」

「一体どこの学校だ」


左手で日差しを遮りながら背伸びをする有梨

次の瞬間、顔を真っ青にして識の後ろに隠れた


「ちょ、どうしたの」

「やばいオレ帰りたい」


さっきまで暑い暑いとぶつくさ言っていたが、今はガタガタと震えている


「何で、何で。よりによってあいつの学校なんだよ」


あいつと識が首を傾げていると幸村に呼ばれた


「悪い! オレマジで帰るわ!」


そう言って逃げようとするも、結局出口は一つしかなくてコートの隅に逃げるしかなかった

フェンスにしがみつく有梨を識は引き剥がそうとするが、思いのほか力が強くそれは敵わなかった

仕方ないと諦めて、違う手に出ることにした

識が呼んできたのは赤也

フェンスを隔てて赤也と有梨が向き合う


「何だよわか――」


ぶすり


「目が目がァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」


フェンスから手を離し有名なセリフを口に目を覆う


「やったぜ! ついに七森に一泡吹かせてやったぜ!!」


目潰しされ死にかけの有梨に対し、赤也は超がつくほどご機嫌だ

悶えているあいだに識はそのまま引きずって幸村たちの元へ向かった







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