Nowhere...?跡地 | ナノ






One more


「えーまたマネージャーっすか?」

「そう。悪いんだけどお願いできないかな」


またまた昼休み、教室で昼ごはんをとっている時に彼らはやってきた

廊下や教室の隅では女子が小声で黄色い声を上げている


「実は今度大会直前の最後の練習試合があってな」

「少しでも部員が試合できるように仕事を請け負ってくれないか」

「頼むよ。ほかにお願いできそうな子いないからさ」


三強直々のお願いだった


「そんなこと言われてもねえ……なあ識?」


半分呆れた声を出す有梨だったが、


「別にいいんじゃない?」


と予想外の答えが返ってきた


「え、本当!?」

「ちょ、識マジかよ!?」


幸村たちにとっては鶴の一声だったが、有梨にとっては悪魔の一声だった


「どうせ一日中部屋にこもってゲームしてるよりは健康的だと思うよ」

「それを言うなら一日中部屋にこもって絵描いてるお前よりはマシだ!」


二人の間に小さな火花が散る


「世は情けっていうでしょ?」

「そうだけどさ……」


どこか渋る有梨だったが、


「わかりやしたよ。ただし一日だけっすよ」


もともと人の頼みは断れない性格なのか意外とあっさり折れた


「ありがとう恩に着るよ」

「で、いつなんですか?」

「今週の土曜日だよ」

「了解っす」


用が済んだならさっさとご退出お願いしますと有梨は続けた

どうやら後ろから聞こえる黄色い声が耳障りだったようだ


「それじゃあよろしくね」

「すまないな」

「頼んだぞ」


上から幸村、柳、真田がそう言い残して教室を去っていった

それに比例するように教室もだいぶ静かになった


「本当にいいのかよ?」

「困ってる人を放っておくなんて良心が痛むわ」

「嘘つけ。良心なんてこれっぽっちもないくせに」

「あら。お言葉ですが、そんなに嫌だったらもっと抵抗すればよかったんじゃない」

「……そりゃああれだ。やっぱり困ってる人放っておける訳ないだろが」


煮え切らない態度で有梨はそう言った

最近なんか識がテニス部に甘くなっているような気がすると密かに思う有梨だった







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