Nowhere...?跡地 | ナノ






球技大会E


「カンパーイッ!」


カンッと甲高い音が響く

掲げ合ったガラスをぶつけ合ったあとは中に入っているジュースを飲み干す


「っかあ! うめえ!」

「ったりまえだろぃ! 俺が直々に選んだジュースなんだから」

「と言っても所詮安物じゃけどな」

「こら仁王くん、それは分かっていても言わないのが普通ですよ」


上から切原、丸井、仁王、柳生


「ふふっ、楽しいね」

「ったく……神聖なる部室で……ぶつくさ」

「たまにはいいだろう」


こちらは幸村、真田、柳

切原たちを少し離れたところでまるで保護者のように見ている


「なんだ、お前ら。全然飲んでねえじゃねえか」

「いや、あの、お心遣いはありがたいんですけど……」

「なんで俺らまでいるんすかァァァァァァァァァ!?」


部屋の隅にいた有梨が派手に突っ込んだ


「どう考えても俺ら場違いでしょ!? なんで俺らいるんすか!?!?」


有梨の発狂寸前の言葉に


「別にいいじゃねえか」

「ほうじゃほうじゃ、もともとおまえさんの優勝記念じゃからのう」

「さあさあほら飲んだ飲んだ」


幸村に促され思わずジュースをついでもらう有梨

ぐびっといい飲みっぷりを見せたところで我に返り、


「いや、だから! 別に俺はそんなこと頼んだ覚えないんですけどォ!?」

「ああ、もうごちゃごちゃうるせえな。いいから黙って飲んでろちび」

「誰がちびじゃこのわかめ。てめえにはいわれたくねえよ、さっさと乾燥わかめになって袋詰めされろ」


言葉では有梨が一枚上手のようで、切原はちび以外の言葉がでなかった


「まあまあいいじゃない」


気がつけば識は柳生とジャッカルの間に入ってお菓子を貪っていた


「お前なじみすぎだろ!」

「せっかくみなさんが用意してくれたのにそれを無碍にするのはちょっと酷いんじゃない?」

「ぐ、ぐぬう……」


さらに上をいく識に有梨も黙ってしまった

少し悩んだ挙げ句、ああもうどうにでもなれ! と言って、新たに次がれたジュースを一気飲みした


「いやあそれにしてもすごかったぜぃ、お前の試合」

「そりゃどーも」

「もっと喜びなさいよ。素直じゃないんだから」

「識は黙ってろ」


はいはーいと珍しく陽気な識はまたお菓子を食べに席を離れた


「つーか、てめえが負けたら、それに負けた俺ってマジで女子以下だったんだよな……」

「そうか。ここはおとなしく負けておいた方がよりわかめは傷ついたのか」

「何その『その手があったか!』みたいな妙に納得した顔してんだよ!」


いつもはやられっぱなしの切原が反撃と言わんばかりに有梨の頭を叩く

ある意味命拾いした切原だった

いつも通りに切原と有梨のじゃれあい(by幸村)が始まった

識はというと黙々とお菓子を食べている


「隣いいかのう?」

「あ、どうぞ」


ジュース片手に仁王が識の隣に座った


「じゃあ俺は反対側ね」


なぜか仁王に便乗して幸村が仁王とは反対側の識の隣に座った

識は肩を縮めて両手でジュースを飲む


「ところでお前さんはなんじゃったん?」

「わたしは卓球ですよ。一回戦で終わりましたけど」

「君のことだからどうせ勝つ気ゼロだったんでしょ?」

「む、まあ否定ましません……」


そんなことだろうと思ったと幸村は笑った

別に勝とうが負けようがわたしの勝手じゃないですかと識は思ったり


「それで、なんかわたしに用ですか?」

「用がなくちゃ駄目?」

「駄目じゃないですけど」


正直緊張するんだよなあとこれも心の中に止めておいた


「みなさんはどうだったんですか」

「俺のクラスが優勝で」

「俺のクラスが準優勝じゃ」


何となく幸村のクラスが優勝なのは当然のように思えた


「よしっ!」


と、勢いよく丸井が立ち上がった


「今日は下校時間ぎりぎりまで飲み明かすぜ!」

「おおーっ!」


まるでどこかの飲み会のよう

ちなみに真田が部活はどうするのだ!? とわめいていたが、そこは柳と幸村が無理矢理沈めたとか






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