Nowhere...?跡地 | ナノ






球技大会C


「はあ!」


有梨から放たれたスマッシュは相手を通り過ぎて際どいラインをついた


「ゲームセット、ウォンバイ七森!」


わー! と歓声が上がる

相手と握手をして有梨は呼吸一つ乱さずコートを後にした

すると有梨と呼ぶ声が


「って誰かと思えば丸井先輩じゃないっすか」

「試合見てたぜ」

「げ、見てたんすか」

「そりゃあもうばっちり!」


うわーと眉を寄せた


「っていうかいつの間にか名前呼びでしたね」

「そうだったか? まいいじゃん」

「俺も別にいいですけど」


テニスコートの隅にある大きな木の下に二人は腰を下ろした


「これ、俺の優勝祝いな」


そう言って冷たいファンタを渡された


「まだ優勝してないっすけど」

「どうせお前が勝つに決まってんだろぃ?」

「まあここまで来たら勝つしかないですけどー」

「だいたいお前のお眼鏡に叶うやつなんていないだろ」

「それもそうっすね」


たかが球技大会だしと有梨は思った


「それにしてもお前やっぱりすげえな」

「何がっすか?」

「サーブといい、スマッシュといい俺から見てもすげえと思うわ」

「一応褒め言葉として受けとくっす」

「素直じゃねえなあ」


ちょっとムカついたので飲んでいるところで缶の後ろを叩いてやればごぼっとむせた

ざまあみろと思った


「で、先輩はでなくていいんすか」

「俺はまだあと30分以上あるから」

「ちなみになんですか?」

「仁王と同じバスケ」

「ふうん」


とくに興味ないのか自分で聞いておいて右から左へ受け流す


「な、なあ。もしよかったら一緒にご飯食べねえ?」

「俺と?」

「ああ。よかったらでいいんだけどさ」

「別にいいっすよ」


どうせ識はどこかでサボっているだろうし

有梨の二つ返事にぱあと丸井の笑顔が輝いた


「それじゃあ。食いに行こうぜ!」


二人は場所を移すことにした

やってきたのは教室

球技大会ということもあり教室には誰もいなかった


「教室でもいいか?」

「俺はどこでもいいっすよ」

「じゃあ教室な」


適当に机を二つくっつける


「いただきまーす」


もくもくと箸をお弁当と口を行ったり来たりさせる


「カニコロッケうまー」

「え、マジ? 俺にもちょーだい」

「いやっすよ。なんで先輩にあげなきゃいけないんですか」

「いいじゃんよー」


なんやかんやでごちそうさまと有梨は丁寧に手を合わせていった

手元の携帯を開いて時間を確認する


「あと10分かー」

「次の試合?」

「準決っすけどねー」


手早くお弁当を片付けると、またラケットを抱えて


「それじゃあ俺は行くっすわ」

「おー応援しに行くぜぃ」

「……あんま人に見られたくないんですけどー」

「減るもんじゃあるめえしいいじゃねえか」

「まあどうでもいいことですけど」

「どうでもいいのかよぃ」


どうせ試合に支障がでるわけでもないし

丸井とテニスコートへ向かっている途中ジャッカルと柳生とも遭遇した

ノリノリで丸井が有梨の試合を応援しに行こうぜというのでその二人も付いてくることになった


「あんまり大声ださないでくださいよー?」

「大丈夫ですよ」

「それじゃあ俺は行きますね」


有梨は選手待機室へ姿を消した







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