球技大会B 「お、七森じゃねえか」 「こんなところで会うとは奇遇ですねじゃっこぅ先輩」 「お前は人の名前もちゃんといえないのか」 「なるべく本来の発音を近づけようとして努力してるだけですよ」 なんて言ってるが、有梨は人を小馬鹿にしたような顔をしている ふたりが出くわしたのはグラウンドとテニスコートの中間 有梨はこれから試合だが、ジャッカルのほうはたった今終わったようで、体育服が汗でびっしょり濡れている 「先輩はサッカーですか?」 「ああ、まあな」 ゼッケン姿でボールを蹴るジャッカルを想像した有梨はテニスより似合っていると思った 「七森はテニスか」 「部活入ってませんからね。引っかかりませんでした」 「俺も別にサッカーでもよかったんだが、どうせならテニスがよかったぜ」 「それ、何のための部活制限ですか」 そんなの一般生徒が圧倒的不利すぎるですよとさらに突っ込む 「そういや、四条は一緒じゃないのか?」 「識なら今頃どこかでサボってるんじゃないですかね」 「一緒なテニスじゃないんだな」 「あいつ運動はからっきしですから〜」 ちょうどその時#香織#がくしゃみをしたのは言うまでもない 「試合、頑張れよ」 「うい。まあ適当に頑張ります」 「適当かよ!」 「あ、もし優勝したらなんか奢ってくださいね」 「お前が優勝するに決まってるだろ!?」 以前、切原との試合で有梨の実力を知っているジャッカルはこの学校で彼女に勝てる人はいないと言った もはや全国区レベル 「あ、じゃあそろそろ試合始まるんで」 「お、おう。引き止めて悪かったな」 「いえいえ。それじゃあ先輩も頑張ってくださいねー」 「お前もな」 駆けていく有梨を見ながらジャッカルは小さくつぶやいた 「俺のチームもう負けたって言わなかったな」 |