差出人 「わたし断ってくるから先帰ってて」 「じゃあちょっとテニス部でも言ってわかめからかってくるわー」 るんるん気分でテニス部へ行く有梨を見送ってから識は次どう動くか考えていた 朝の手紙といい机のゴミといい、狙いは識だけのように見える ならば有梨に知られる前に処理するのが最善策と考えた 有梨って意外と心配症だからなあ 「面倒くさいけどこれも平和な日常のためか」 そういって重い腰を上げた 向かう先はひと目のつかない体育館裏 早く来すぎたかなーと思っていると 「ちゃんと来たみたいね」 現れたのは一見可愛い顔をした女子だ 別に化粧をしてるわけでもなくどこにでも居そうな可愛い人だった 「あなたが呼び出した張本人ですか?」 「四条#香織#さんね?」 「はいそうです」 「本多美奈子と申します」 校章を見る限り三年生と先輩のようだ 後ろにはさらに5人ほどいる 「で、何の用でしょうか?」 「あなたゴールデンウィークにテニス部の合宿に行ったようですね」 「ええ。テニス部の方に頼まれて臨時マネージャーと行きましたよ」 「それは事実ですか?」 「そうですよ。事実以外なにものでもないです」 後ろの女子から嘘つけ! などのヤジが飛ぶ しかし美奈子がお静かにと言えば一瞬にして沈黙が降りた 「単刀直入に言います。これ以上テニス部に関わらないでくださる?」 「それはなぜですか?」 「我々ファンクラブから見れば邪魔だからです」 あ、ファンクラブなんて存在したんだとのんきに思う識 まあ確かにイケメンかもね、テニス部って 「別に邪魔しているつもりはないんですけどね」 「あなたはそう思っているかもしれません。ですが我々にとっては邪魔なのです」 両者のあいだに冷たい火花が散る |