Nowhere...?跡地 | ナノ






合宿E


次の日の朝も早かった

原因はこの人である


「さあさっさと寒風摩擦をするぞ!」


副部長の真田である

肌寒い中ひとり上半身だけ脱いで寒風摩擦をする

周りからうわー朝からありえねえなどの言葉が聞こえてくる


「こんな朝からよく元気よね」


朝が大の苦手な識にとってはいい迷惑である


「全くだ」


有梨もあのあとさらにゲームをしていたせいか目の下にくまがある

まあ有梨の場合自業自得なわけだが


「朝からたるんどるぞお前ら!」


しかし本当に朝から元気である

ややあって午前の練習


「みんな動きが悪すぎるよ!」


今日は正午まで練習したあと帰る予定となっている

そのためか部活にも熱が入る


「みなさーんドリンクっすよー」

「汗拭きタオルもどうぞ」

「ありがとうございます」

「ふー生き返るぜ」

「次は仁王さんと柳生さん、丸井さんとジャッカルさんのダブルスです」

「うわ俺たちかよぃ」

「ほらいくぜ」


ジャッカルに引きずられながらコートに入る


「おい七森!」

「なんだいわかめ」

「俺と勝負しろ!」

「勝負? 勝負ならこの間ついたじゃん」

「再戦だ!」

「えー面倒くさい」

「いいじゃない、受けてあげても」

「お前はわかめの味方をするのか!」

「味方するわけじゃないけどたまにはいいじゃない」

「まあ識がいうならわかった」


一応幸村にも許可をもらってから勝負する

もちろん幸村はこの勝負を快く承諾してくれた


「邪魔するぞ」

「げ、柳さん」


柳が識の隣に座ると彼女は少し間をあける


「別にお前のデータを取りに来たわけでない」

「本当ですか?」

「今は可愛い後輩がどの程度か見に来ただけだ」


ふっと笑う柳に識もそうですかと少し笑いながら言った

結局勝敗は有梨にあがった


「ちくしょなんで勝てねえんだよ!」


だが前よりも差は縮んでいた

赤也が確実に力をつけてきた証拠である


「わかめ」

「なんだ」

「ん」


倒れている赤也に手を差し出す有梨

はじめは何が何だかわからず頭にはてなマークを浮かべる赤也ではあったが、それがどういう意味か理解したところで、その手を掴む


「まあわかめにしては強くなったね」

「うるせえ! 大きなお世話だ」


口では喧嘩腰だが、表情は正直で二人とも笑っていた

なんだかんだいって仲がいいことだ

タイミングを見計らったように幸村が部活の終わりを告げる

こうして立海テニス部の合宿は幕を閉じた







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