Nowhere...?跡地 | ナノ






合宿D




さすがの丸井たちも午前午後の練習に疲れたのか徹夜することはなかった

そんな中夜遅くまで起きている者がいた

データマンこと柳だ

今日の練習のデータをまとめているところだった


「ふー。さすがに疲れたな」


首を左右に傾けながら肩の凝りをほぐす

外はもう闇が支配している


「ん? 誰かいるのか?」


窓の外にはちらりとだが人影が見えた

こんな時間に誰だろう

それよりもなぜこんな時間に外に出ているのか

気分転換のため柳は人影を追うことに

施設を出れば肌寒い風が襲う

テニスコートの近くの土手にその人影はあった


「おい、そこに誰かいるのか」


見えた影がびくりと動いた


「びっくりしたー。誰かと思えば柳先輩か」


人影の正体はなんと有梨だった


「こんなところで何をしている」

「えーっと散歩?」

「散歩の時間じゃないだろう」

「まあちょっと眠れなくて」


柳も有梨の隣に座る


「先輩はどうして?」

「気分転換だ」

「そうっすか」


少し気まずい沈黙が降りる

この際柳は前から思っていたことを思い切って聞いてみることにした


「なあ少し聞いてもいいか?」

「なんすか?」

「俺は四条に嫌われているのだろうか」

「いきなり何かと思えば」


くつくつを笑いをこらえる有梨に柳はしわを寄せた


「嫌われてはないと思いますよー。苦手だとは思われてるかもしれないけど」

「……」


午前の練習の時も何故か柳だけを避ける識を思い出す


「先輩って何かあったらいつもノートにメモってるじゃないですか。それが嫌なんじゃないかなーと」


俺が考えるにはですけどねーと最後につけたす


「そうなのか?」

「あいつは自分のことを探られるのが嫌なんすよ」

「……何かあるのか?」


そう聞くと有梨は言葉を選ぶようにあーと声をあげた


「んとまあいろいろあるんすよ」

「そうか」


嫌われてはいないが苦手意識を持たれているとは思わなかった


「まあそのうち自分から話すと思いますから大丈夫っすよ」

「ならいいが」


これが杞憂ですめばいいとそう願う柳であった


「……っくしゅ!」

「なんだ寒いのか?」

「ちょっと肌寒いっすね」

「ならそろそろ戻ったほうがいい。また明日は早いからな」

「そうっすね」


こうして二人の奇妙な会話はここで終わった







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