読書日和 一方識は真面目に授業を受けていた でもなかなか授業に集中でいないのか、ちらちらと空を見ている 結局有梨が帰ってこないまま午前の授業が終わった 有梨もいないということで識は図書室へ行くことにした 「なんか面白い本ないかなー」 ふらふらと図書館内を徘徊する 「あ、伊岡さんの新刊だ」 そう言って背伸びをして本を取ろうとする しかし170近い身長を以てしても届くかどうかのぎりぎりだ するとすっと本が取られた 「お探しの本はこれでよかったですか?」 メガネをかけた男子生徒が代わりにとってくれた 「あ、ありがとうございます」 「いえいえ。女性が困っているのを黙って見過ごすとは紳士失格ですからね」 クイッとメガネをあげる彼に#綾音#はもう一度お礼をいった 「失礼ですが、もしかして四条さんでは?」 「え、そうですけど、よくわかりましたね」 「ええ。幸村くんからもやしみたいな子といわれましたから」 「も、もやし……」 ちょっと失礼じゃないかもやしって…… そう思った識だったが口にはしなかった 「あ、自己紹介が遅れましたね。私、柳生比呂士と申します」 「四条識と言います」 二人ともバカ丁寧に頭を下げる 「本当はもう一人いるんですけどわけあった今はいなくて」 「そうなんですか」 なんて話しているとあっという間に時間はすぎていて 休み時間の終了を告げるチャイムが鳴った 結局有梨は午後の授業になっても帰ってこなかった |