Short Story | ナノ


▼ 切原赤也的初恋

俺こと切原赤也は恋をした

相手はホグワーツ一のシーカーと言われる苗字名前先輩だ



初めて先輩を見たのはホグワーツ入って初めてのクディッチの時

箒をまるで自分の体の一部のように操る先輩を見て一目惚れだった

試合が終わったあとすぐに俺は先輩のもとへ駆け寄った

もちろんこの思いを伝えるためだ

でも先輩と同じハッフルパフの人たちに囲まれて近寄ることすらできなかった

仕方がなかったのでふくろう便を使って先輩を中庭に呼び出すことにした

ちゃんと来てくれるだろうか

いろいろ不安はあるが、ここでウジウジしていても仕方がない

さっそく中庭に行ってみようと思う

柱の影に隠れてこっそりと様子を伺う

あ、いた! ちゃんと来てくれてる!

これだけでもう俺の喜びパロメーターと緊張パロメーターはMAXを超えた

嬉しいけどすっげえ緊張する

やばい、心臓の音がうるさすぎる!

左手のひらに人という字を何度も書いて飲み込む

ふー少し落ち着いた

さ、さあ行くぞ!


「せ、先輩!」

「もしかして手紙の送り主?」

「そうっス! き、切原赤也っていいます!」


う、上擦った! 声上擦りすぎだろ俺!

はじめから少し転んだ感じがするが、ここまできて引くことなどありえない

もう突っ込むしかないのだと自分を奮い立たせる


「で、あたしに何か用?」

「こ、この前のクディッチ見ました! すっげえかっこよかったッス!」

「あ、そう? ありがとう」


笑った!

一瞬だけだったけど笑った顔めっちゃタイプだった!


「それで?」

「お、お、おおお、俺と付き合ってください」


いうのと同時に手を差し出しながら頭を下げる

お願いします神様仏様イエス様!

宿題ちゃんと出します

授業だって寝ません

遅刻だってしません

喧嘩だってしません

いい子にしますからどうかお願いします!


「あーごめんそういうのは受け付けてないんだ」


俺の一生の願いはここで朽ち果てた


「悪い。ごめんね」


差し出した手を一度握って先輩は去っていった

しばらく俺はその場から動くことができなかった

俺の初恋はあっけなく散った



――なんて諦められるわけがない!

俺は今回だけに限らず毎日先輩宛にふくろう便を送った

来る日も来る日も先輩への思いを綴った手紙を書いた

たとえ相手から気持ち悪がられてもいいと思った

とにかく先輩に自分の思いを知って欲しくてひたすら書いた

そんな努力を認めてくれたのかある日先輩から中庭にくるようにとふくろう便を受け取った

ついにこの努力が報われる時が!


「せ、先輩もしかして……」

「バーカ、違うよ。ここに呼び出したのは告白なんかするつもりじゃないよ」


そうだよな、ちょっとでも期待した自分がバカだった


「今日はあんたにチャンスをあげにきた」

「チャンス?」

「もしあたしを落とそうとしてるんならクディッチで落としてみな」

「え? クディッチですか?」

「もちろん言葉通りに叩き落とせばいいってわけじゃない。このあたしからスニッチを奪ってみなってこと」

「ええ! 先輩からッスか!?」

「それぐらいできないであたしの隣にたとうなんて5億年早いわ!」


そんな……あの先輩からスニッチを奪えなんて無理ゲーにも程がある!

その難易度はいつも目を凝らせながら見ている自分が一番よく知っていた

愕然とする俺に先輩はどこか楽しそうに言う


「あれ? あれだけ愛の言葉を吐いて威勢がよかったお前はどこいったかなあ?」


にやにやと挑発的な笑みを浮かべる先輩

考えてるだけじゃダメだ

せっかく先輩が直々にチャンスをくれるんだ

これを無碍にするつもりなんてサラサラないぜ!


「や、やります! 是非やらせてください!」

「ははっ! そうこなくっちゃなあ。それじゃあ待ってるよ」


そう言って先輩は手を振りながら帰っていった

先輩が完全に立ち去ってから俺はガッツポーズをした

こうなったら意地でも先輩からスニッチを奪ってやる!




……あれでも一年生はクディッチに参加できないんじゃなかったっけ?





切原赤也的初恋


To Be Countinued?



幸村(蛇寮)が赤也と同じ寮(獅子寮)の真田に「この前グリフィンドールの一年の飛行術の時間で面白いやつを見つけたんだ」って言い出して、才能を見出して特別に一年でクデッチの選手(補欠)に選ばれて切原の猛追が始まります(笑)


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