ちょっとおまけ


「土方さァん、本当にいいですかい?」


沖田が言う


「お前は反対か?」

「そうわけじゃねえんですけど。あんな小娘共に人なんか殺せんですかい?」

「お前は見なかったのか?」

「何をでさァ?」

「#久遠寺#ってやつはわからんが、#五十嵐#は確実に一人は殺してる。あれはそういう目だった」

「ふうん」

「まあそういうことだ。あと総悟、お前にはアイツの剣の指導を頼んだ。それなりに心得ているはようだが、まだまだ粗い」

「……へーい」


沖田は別れ、土方は自室に戻った

そして土方は明かりひとつ点けずに座り込む

目を閉じ、先ほどの#棗#の目を思い出す

今、沖田に『人一人殺した目だ』と評したが、土方はそのさらに奥、最深部にあるものをみた

それは内なる狂気

無理やり押し込められているものではない

ただ眠っているだけ狂気

だが、狂気は狂気だ

いずれその狂気は#棗#自身の崩壊を招くだろう


そして#環#

彼女の目にも得体の知れない何かが垣間見えた

どす黒く静かに渦巻くそれは幾重にも死線をくぐり抜けてきた土方でさえ、得体のしれない恐怖を感じた

#棗#の狂気とは違う何か

なんというのだろう

死を恐れないどころかむしろ死に憧れているような

とにかく並々ならぬものを感じた


「只者じゃねえとは思ってたが、こりゃ相当やばい人種だったりな」


短くなった煙草を灰皿に押し付けた



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