花言葉は、


窓の外で、たんぽぽの綿毛が舞っていた。これからきっともっと遠く、たくさんのキレイで可愛い花を咲かすのだろう。
そしてまた、空を渡り新しい場所で道行く人たちに幸福をもたらすのだろう。

ふわふわ、ふわふわ。
風に揺られ、たんぽぽみたいに飛んでいけたなら。
君を幸せにすることはできるだろうか







おくむら、

思わず口をついて出た言葉。
音にしてしまうと、その優しい響きに胸が暖かくなる。
授業は寝てばっかりで、不真面目なやつ。でも、純粋でまっすぐで、憎めないやつ。

いつの間にか、
ただ、魅かれていた。


いつもの笑顔の中に、時折みせる寂しげな、なにかを押し殺しているようにも見える表情にすら。
すべてを愛せる自信がある。確信している。なにが起きようとも、どんな困難に立ち向かうことになろうとも。



笑顔に目を奪われる
声を聞くたび心臓が跳ねる
抱きしめると思考がとける
どうしようもなく、恋しくなる。


綿毛みたいにふわふわ飛んで、あたたかい風と共に奥村の内側へと行けたなら。


「なあ奥村、お前はひとりじゃないんやで」

すうすうと寝息を立てる彼の隣で、勝呂は小さく呟いた。










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