3
どうして急に怒ったのかと、燐は自分のベッドに腰掛けながら、もやもやとしていた疑問を投げかけた。
「……弁当」
「は、弁当?」
「弁当作ってやるとか、なんやえらい仲ええんやなと思って」
それが気にくわんかってん。
そう話す勝呂にきゅうと愛しさがこみ上げる。
もしかして、もしかしてそれってヤキモチってやつ?
そんな心の声が漏れてしまったようで。
「ばっ!!ちがっ…そんなんやない!」
あんまり必死な様子で顔を赤らめながら言うもんだから、思わずふふっと笑いがこぼれる。もごもごとまだ言い訳をするくちにちゅ、と口付けた。
不意打ちのキスに勝呂の動きが停止する。ついでに目をまんまるにして。
また、顔の筋肉がゆるゆるだ。にやにや、にやにや。
すると、とん、と肩を押されゆっくり押し倒された。
顔の赤いままの勝呂が熱っぽい瞳で見つめてくる。
「勝呂、顔赤いぜ?」
からかうように言うと、おまえもやと返された。
前髪を持ち上げられ、唇が落ちてくる。
やさしく、やさしく。
唇が合わさり、熱い吐息に頭がくらくらした。
深い、溶けるように甘いくちづけ。
きゅうきゅうと胸がしめつけられる。
なんだか泣きそうだ。
ちいさいリップ音を残し唇が離れると、勝呂は目を細めて、好きだと耳元で囁いた。久しぶりの甘いふたりだけの時間。
幸せすぎて、バチが当たるかもしれない。
燐は?と聞かれ、俺も好きだと答える。
しばらくはふたりでくすくす笑い合いながら、好き好きと言い合った。
「もーあかん、我慢しきれへん」
口もとを緩ませたまま、燐の首筋に顔をうずめ噛みついた。
あ…、と思わず出てしまった声に羞恥心が煽られる。
ちり、と痛みが走り勝呂が痕を残したのを理解した、その時。
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