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06
1部



時間が経つのはあっという間だった。
先ほどまであんなに青かった空も既に赤く染まりかけ、
夕焼けの空にはポッポや黒い鳥ポケモンたちが飛びまわっている。
今日は此処に泊まってくか、と一息ついたときだった

「?」

ブブブ、と音もなく携帯が振動を繰り返す。
ポケモンセンターはマナーモードじゃなきゃいけないからそう設定してあったんだっけ。
ポケットの中で震え続ける携帯を無造作に取り出し、耳元に当てた。

「はい?」

『もしもし・・・タキ?』

聞き覚えのある声にハタリと目を見開く。
もしや、この声は・・・。

「レッド、か?」

『うん』

俺を、この町に送り出してきた張本人、レッドだった。
グ、っと息が詰まるような思いでただ携帯に耳を傾ける。
どうやら既にホームシックになりかけているようだ。
早くあったかい家に帰りてー、とかどこか遠くで思いながら唇をきつく噛んだ。

『今、どこ』

「ヨシノシティの・・・ポケセン。の、表」

あの草ポケの治療はまだ終わらないらしい。
数十分待っている間にポケセンの空気に酔ってきたらしく、こうやって外に涼みに来たわけなのだが。

『そ。・・・じゃあ』

「は?、え・・・ちょ!レッ、」

ブチ、機械音の遮断される音が聞こえてきた。
もしや、きられた?
プープー、と虚しく機器から鳴る機械音に俺はハア、とため息を吐き出す。
一体、なんなんだ。
いきなり電話してきたかと思えば急にきりやがって。
なんだかやりきれない気持ちになり、俺は静かに、強く強く手のひらに爪を立たせた。

「タキ、爪たてると痛い」

ふわりと、作った拳の上に誰かの手が重なった。
見覚えのある、グローブを装着した右手に俺はただ静かに目を見開く。
なぜ、ここに・・・お前がいるんだ。・・・レッド。


「な、んで・・・」

「タキ、忘れ物」

はい、といって俺に差し出すのは赤色をした携帯のようなもので。
・・・なんだこれ。

「ポケモン図鑑」

「?そんなもん俺持ってなかっ・・・」

「オーキド博士から、何年か前に僕たちと一緒にもらってた」

何年か前、というのはきっと多分、レッドとグリーンがマサラから出て行く時のことだと思う。
確かに・・・思い返してみれば、もらった記憶が・・・ない、・・・わけでは・・・うーん。

「タキの部屋漁ったら出てきたから」

「おま、勝手に人の部屋漁るなよ!!」

ごめん、と悪びれずに謝って来るレッドに俺は苦笑いを零す。
絶対コイツまた繰り返すぞ。
どこか絶対を含んだこの思いにカラリと俺は笑った。

「あー・・・レッドさんだ。本物だ本物。あー温いよ」

座る俺の前に立つレッドの腰に腕を回して抱きつく。
レッドの匂いと、人肌に触れて俺は若干目を潤ませる。
くそ・・・何なみだ目になってんだ俺。すごくダサい。
つうか腰ほっそ!

「あーもうレッド、マジで大好き」

「僕も好きだよ」

そりゃ、長年連れ添った幼馴染に嫌いとか言われた日にゃ俺は多分寝込むだろう。
何気ない一言に俺は目もくれずただ、そっとレッドの体温をかみ締めた。

「―・・・っし、立ち直った俺!」

レッドパワー充電完了です、なんて笑いながらベンチから立ち上がる。
そろそろあの草ポケの治療も終わった頃だろう。
沈みかけの太陽を見つめて、俺よりも小さいところにあるレッドの帽子頭をポンポンとたたいた。

「わざわざありがとな、レッド」

「・・・ん」

そう言えばレッドは帽子の鍔を持ち、そしてボールの中からポケモンを出した。
―リザードンだ。
その大きな身体をかがませてレッドに早く乗るよう催促する姿は何度見てもすごい。
こんなのを手懐けるとかマジぱねえよレッドさん。

「じゃあな、レッド」

「バイバイ・・・頑張って」

リザードンの上に跨り、そして言うレッドにニコリと笑顔を向けた。
あんな弱みを見せるのは今日で最後だ。
羽ばたくリザードンはやがて、赤の空へ飛び立っていった。




END

腐腐腐。
全然話がすすまないよ/(^q^)\


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