04 1部
「ウインディ、かみつく!」
「ガウ!」
ガサ、と草を掻き分ける音が聞こえてきた。 その姿は葉の長い草に隠れて見えないが、動くたびにそこの草が揺れるため場所はわかる。 ウインディはその場所へ飛びつくようにして飛んだ。
「キュウっ」
甲高いポケモンの鳴き声があたりに響き、そして消えた。 さっきと同様、姿は見えないがきっと先頭不能になったのだろう。 ウインディは満足げに口の周りをペロリと舐めとる。 まるで無事に捕食できた獣のようだ、と俺はボウと考えた。
「つうか、いつになったら次の町につくんだよ・・・」
もういい加減30分以上は歩いてるだろ。 いい加減野生のポケモンが出てくるたびにボールからウインディを出すのもだるくなってきたし。 ウインディを出しっぱなしで歩くこと10分は経過しているがさっきと同様一向に町の明かりは見えてこない。 もしや俺、
「迷った・・・だと?」
どんだけ方向音痴なの俺
*
『はあ?迷ったァ?』
めちゃくちゃめんどくさそうな声が機器の向こう側から聞こえてくる。 ・・・いや、もうこれは面倒とか乗り越えて呆れてるレベルだ。
「お、おう!・・・で、どうしたら・・・」
『そんなの俺が知るかよ、俺そっち行ったことないし』
まあ、確かにそりゃそうですけど。 カリカリと携帯電話の向こう側で声意外に音がする。何か書いているのだろうか。
「グリーン、今何やってんの?」
『あ、ああ!?べ、別にあんたに関係ねえだろうが!!もう切るぞ』
「あああっ!!待って、まってまって!! もうとにかくなんでもいいからGPSとかそんな感じの機能ねえの!?俺を町へ行かせてくれ・・・!」
てか、何でそんなに焦ってるんだよ。 さして意味も込めず聞いただけだったが・・・なんだよ気になってきたじゃねえか。 しかしそこに突っ込むと今度こそ本気で切られるから俺はそんなことしないだって野垂れ死になんてしたくない。 俺はため息を吐き、しっかりしろよ、と言いたげに瞳を細めたウインディの頭を撫でた。 いたっ、お前ちょ、噛むなよ!
『てか、今どこ向かってんの』
「え?っと、ヨシノシティ」
『はあっ!?』
今までより一際大きな声で叫ばれ、耳がキーンとする。 このやろ、急に叫ぶなし耳と頭と心が痛い。
「う、うる・・・」
『お前、それ2番目の町じゃねえかよ! え、何、ワカバタウンからヨシノシティに向かうだけで迷ってんのか!?』
え、ちょっと何この言われよう。 携帯の向こう側では呆れたように息を吐き出すグリーン。 んだよ、俺もため息つきたいわこのやろう。
『そこ一本道だろーが、馬鹿じゃねえの』
「うるせーなバカ。 俺インドアだったから方向感覚ってのは鍛えられなかったんだよ」
小さい頃から本当にどこも行かなかった。 今思えば、一番遠出したのは俺とレッドとグリーン3人で行ったニビシティくらいじゃないだろうか。 確かあの頃も二人に引きずられて言ったんだっけ、俺。
(俺情けなっ!)
『適当に地元のポケモンゲットして道案内してもらえばいいんじゃねえの』
「・・・なんというポケモン活用」
そんなこと思いつくなんてやっぱり何様俺様グリーン様だよな。 うんうんと1人うなずいてたらウインディにほえられた。
「ま、やってみるわ。ありがとなグリーン、助かった」
『おう、暇だからって電話かけてくんじゃねえぞ。タキみたいに暇なわけじゃないから』
ぜってえかけてやろ。 心の中で呟き、引きつる顔に無理やり笑みを載せた。
「はいはいじゃあな」
プツリと通話終了ボタンを押す。 それからウインディの目をジイと見つめ、やるか、と呟いた。
「ポケモン捕まえるぞ・・・!」
「ガウ」
え、だから何その面倒そうな返事 もうちょっとやる気になってくださいいやまじで!
END
あれ、もう4話なのにまだ2つ目の町についてないとか。 マジミステリー
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