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02
1部



「悪いな、グリーン」

「気にすんな。それよりもウツギ博士に会ってどうする気だよ」

ピジョットの背中を撫でながらそう訊ねるのは俺んちの近所に住む少年グリーン。
彼もまた、レッドと同じくして若いポケモントレーナーだった。

「ちょっと、旅を」

真っ青な空を見上げて、フっと笑う。
久しぶりに、マサラ以外の空気を吸ったような気がした。

「はあっ!?あんたが旅って・・・正気かよ!」

「そんなに驚くことなくねっ!?せっかく雰囲気だしてたんだから少しくらいあわせてくれたって・・・」

「・・・はは、本当かよ。のたれ死しても俺はしらねえからな」

乾いた笑いを零しグリーンは勢いをつけてピジョットの背中に飛び乗った。
え、もうかえるの?
そう言葉にはしないものの気持ちを込めて視線を向ければ思い切り視線をそらされた。

「どうせレッドの奴だろ。あんたに旅しろとかそそのかしたの」

「あれ?なんでわかった」

「・・・あんたが到底自分から旅をしようとするなんて思えないからな」

・・・俺をよくわかってらっしゃる。
苦笑いを浮かべ、今降り立ったばかりの町を見渡した。
此処が、ジョウト地方のワカバタウン・・・ね。
家のほかに大きな建物を見つけあれが研究所だと悟る。
あそこにウツギ博士がいるのか。・・・はて、あそこへ行って何をしにいけばいいんだ?

「とりあえずカントーのチャンピオンの知り合いで新しく旅がしたいとか言えばよくしてくれんだろ。
ほら、行けよ」

「グリーン」

クイ、と顎で研究所を指すグリーンを振り返る。
俺は小さくうなずき、あ。と声を漏らした。

「ありがとなグリーン。助かった!」

「貸し一な。帰ってくるなら強くなって帰ってこいよ?まあ、俺には勝てないだろうけど」

「余計なお世話だバカ」

二人顔を見合わせ、フっと笑う。
ピジョットが羽ばたき、辺りに風が吹く。
きっと、多分長い間顔をあわせることはないのだろう。
空中に浮かぶ近所の少年の姿を目に焼きつけ最後に叫ぶ。

「じゃあな、グリーン!!」

グリーンは言葉を返さずに、ピジョットの背に捕まり大きな空へと飛び立っていった。


「・・・っし、やるか」

大きな、白い研究所へ向かって歩みだす。
腰につけた、一つだけのモンスターボールが揺れ小さく笑みを零した。


END

旅の始まり


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