07 お題
07.じゃんけん ホムラ
「じゃんけんに負けたほうには、死んでもらいます」
薄っぺらい真っ黒な紙に赤い文字でそれは書いてあった。 所謂ゴシック体。所謂脅迫文。所謂死の宣告。
「けっ、なんだこれ。ふざけてんのか?」
赤いねこみみ付きフードなんて、とてもじゃないが 普段着としても、勝負服としても着れないような格好をした青年はまるで吐き出すかのようにして言い放った。 確かに青年の言うとおりだ。 目が覚めたら知らない場所に男と二人きり。出口らしきものは見当たらない。 どこかの外国映画みたいだ、なんて酷く冷めた自分がそこにはいた。
「・・・どうする、じゃんけんするか?」
「は。馬鹿馬鹿しくてやってられっかよ」
どうやら彼はやる気なんてもの、ないようだ。 確かに彼の言うとおり馬鹿馬鹿しい。 付き合ってられるかとは思うものの、その反面もしかしたらこれは本当なのかもしれないとも思っていた。 だって、こうゆう外国映画見たことあるもん。
「ああそう。ま、時間切れとかでお互い死なないことを祈るか」
ふらふらーと片手を揺らめかせて、青年に背を向けた。 どうせ何かあったらあっちから接触を図ってくるだろうし。 まあ何もないのが一番いいんだけどな。
ズキリと痛み始めた胸の掴み、息を吐き出した。
始まる、カウントダウン
「本当は怖いさ」 苦しくて蹲る君に、俺はそっと涙を流しながら伝えた
END
ルビーのマグマ団幹部ホムラ。 死のゲームみたいな。デスゲームみたいな。それに巻き込まれた二人の話。
→ミツル
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