01 お題
01.にらめっこ タケシ
「・・・」
「・・・」
どれだけの時間、ただ黙ったまま見つめあっただろうか。・・・否、これは決して見詰め合っているわけではないのだ。 ただのにらめっこであって・・・そう、遊びだ。遊戯だ。だから、なんだ。妙にドキドキするのはおかしいんだ。
「、」
唾を飲み込む音がやけに大きく感じられた。 1メートルと距離のない至近距離でタケシは切なげに眉を寄せる。 細いその目の隙間から見せる黒い光に、ついに俺はうなだれてしまった。
「もう、無理だって・・・」
ポツリと声を漏らす。その一言で空間の緊張感が途切れたのはうそではないだろう。
すぐ近くからは盛大に息を吐き出す音が聞こえてくるも、突っ込むことさえできない。 だって、これ俺の負けでしょ。 バクバクと煩く脈打つ心臓にギュウと目をつぶった。
「お疲れ、タキの負けだな」
頭をやさしくなでるタケシの手をつい両手でつかむ。硬い手のひら、人間の温かさ、タケシの手。 何、やってんだ俺は。 驚いたようにその細い目を少しばかり開くタケシの視線から逃れるように視線をさまよわせれば少しだけ声を立ててタケシは笑った。
「さあ罰ゲームだ。ちゃんと働いてくれよ」
「・・・わかってるっつうの。」
でも、もう少しだけ。もう少しだけこうしていたい・・・なんて、いえるわけないんだけど。 一人俺に背を向けて歩いていってしまうタケシの後姿をボウと眺め、そして後を追うように足を動かし始めた。
もどかしいこの関係。
(もし恋人同士なら、・・・ちゅーくらいしてやるのになあ)
END
カントーのニビジムリーダーのタケシ
→ワタル
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