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2
番外編



Side change


「ココア大丈夫?」

コクリと頷けばそっか、待っててな。なんて
素敵な笑顔で私を一人自室らしき部屋に残して出て行ってしまった男の人の後姿をボウと見つめる。
私はある日突然神と名乗る女とであった。
彼女は私にいくつも質問を投げかけ、そして私がそれに全て答えると綺麗な笑みを浮かべて嬉しそうに言ったの。
"ありがとう、貴女の願いをかなえてあげるわ"

そして、気がついたら私はこの地に落とされ、そして"彼ら"と運命的な出会いを果たしたのである。
マサラタウン出身の私と、幼馴染のグリーンとレッド。そして私のイトコにあたる、同じくマサラタウン出身の、彼。
タキさんと言ったか。彼は私の知っているシナリオには登場しなかったはず。
そして記憶操作も何もされていない、ただのここの住人で、そして私のイトコのお兄ちゃん。
・・・一体、誰なの。


「マキちゃーん・・・」

「あっ、は、はい!」

私の名前を呼ぶ声に肩を跳ねさせ、立ち上がる。
呼び声のする方向へ行けばそこはキッチンで。どうやら一人暮らしのようだけれど、案外片付いてるものなんだ。
男の人の一人暮らしってもっと汚いものかと思ってた。


「ちょっと、ごめん、袖まくって」

そう言って焦ったようにまくった腕から落ちてくる袖を顎でさすタキさんをキョトンと見つめる。
それで少しの間があいたところでクスリと笑った。

「大丈夫ですか?」

「っと、・・・サンキュ。助かった・・・」

そしてよかった、漸く笑った。柔らかに笑みを浮かべながら私を優しく見つめるタキさんにドキンと胸がなった。
この人は、私が異端者だということに気がついていないのだろうか。
私が自分で望んでこの世界に来たということ。元は別の世界の住人だということ。この世界は、私が望んで創り出した世界だということ。
全て、全て。彼は知らないのだろうか。

「今いくつなの?」

「あ、っと・・・18、です」

「へえ、じゃあレッドとグリーンとタメか。若いなー」

「タキさんだって、若いじゃないですか」

「マキちゃん達に比べたらもうおっさん・・・ってグリーンに言われたわ」

「えー、そうなんですか?」


楽しく過ぎる、この時間は全て偽りだということを、彼は知らないのだろう。

『貴女の願いは何?』

『ポケモン世界に、逆ハートリップ』

さっき出会ったレッドやグリーンと違って、ピンクに染まっていない彼の瞳に吸い込まれる。
染まっていないことが、惜しくてだけど嬉しくて。
優しく笑うタキさんに胸がまた一つトクンと音を奏でた。


いつまで続くかな?

"恋の迷宮"
なんちゃって。




END



逆ハー補正のあるトリップ少女との接触。根は悪くない子。
二人の異端者に創られた物語が重なるとき、一体どうなってしまうんだろう。なんて、ありがちなネタ。
きっと続かない。



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