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真剣勝負
番外編




ちょっと注意


「なあ、タキ」

7月の中旬。
既に季節は夏で、ジリジリと真っ赤な太陽が肌を焼き照らす。
今朝のテレビでは少し涼しい一日になるでしょうとお姉さん言っていた気がするけど、これ確実に40度到達してるわ。このままでは溶けてしまう、と額に浮かぶ玉のような汗をぬぐい大きく息を吐き出した。
本来ならもう少し風が来てもおかしくないはずなんだけどな、俺のすぐ隣で扇風機を独り占めしているグリーンをジロリと睨みつけた。

「・・・何睨んでんだよ」

ここ、俺んち。
それ、俺んちの。
わかるかしら、グリーンくんは。

「つうかさ、この家にはクーラーもないのかよ?絶対これ熱中症で倒れるぜ」

「余計なお世話だベイベー」

けっ、と悪態を吐くように言えばじとりと見られる。
・・・え、何その冷たい視線。ちょっとグリーンさん?
ベイベーってあんたが言ったセリフですがもしやもう忘れちゃった?ちょっとちょっと俺がスベったみたいになってるからやめてください本当。


「なあ、勝負しねえか」

「・・・勝負?」

ギャンブル?なら俺負ける自信があるからやらないよ。そういいながら逃げるようにグリーンに背を向ける。
全開にした窓からはなんとなく冷たい風が入って来るものの、蝉の鳴き声が気分的に暑くさせるため効果はない。あー本当あっちい、どうにかなってしまいそうだ。


「まあギャンブルっちゃーギャンブルになんのかな。ポケモン勝負だよ、バトルしようぜ」

バトル?
いぶかしげに眉を顰めながら顔だけ振り返って見せればその整った顔を綺麗に緩めるグリーンさん。
・・・これだからイケメンは嫌いなんだ。げんなりと顔を歪め。振り返るのをやめて前を向いた。

「一対一ならしてやらなくもない」

「上等。一対一の真剣勝負な」

負けたほうは勝ったほうの言うことを今日一日聞くってのはどうよ。
そのグリーンの言葉になんとなく嫌な感じがしたが、まあどうせ夕飯おごりだとか腹踊りしろとか、そのレベルだろうと高を括り、コクリとうなずく。
真剣勝負。暇つぶしの一環にしてはやけに、重たい響きだ。さっそく立ち上がり表へ向かうグリーンの背を眺め俺もそれに続いた。




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