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12
1部



「何泣いてるの」

「泣いてねえよ」

「泣いてるじゃん」

「泣いてねえって」

くだらないやり取りを数回交わしてから、このやり取りがとてもくだらないということに二人して気が付く。
現に俺は泣いていない。けれど泣きそうに見えたかもしれない。大して重要ではないのだ。

少しの沈黙後、一度お互い目を合わせてため息を吐き出した。


「相変わらず頑固っていうか、意地っ張りっていうか」

「お前も変わらず押し付けがましいよ」

そう吐き捨てるように言ってやれば笑顔で、何も言わず俺を見つめるマツバに大人にでもなったつもりかよ。と白い目で見つめ返す。
昔っから喧嘩が絶えなかった。
10年ほど経った今なら少しはマシになったかと思っていたけれど、そんなことはなかったようだ。

沈黙が続く中でぼんやりと考える。
そういえば初めて会った時から
コイツとは反りが合わないと感じていたしなんとなく嫌いだと感じていた。
お偉いの息子だとか、次期ジムリーダー候補だとか知らない。
当時はまだ子供だった俺にとってマツバはただの気に食わない少年だったのだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
オーキドのじーちゃん・・・その頃はじじいなんて呼んでたっけ。
じじいにマツバの案内役として任命された時のことはよく覚えている。忘れるはずもない春のまだ寒い日だった。
オーキドのじじいを訪ねてきたマツバ親子はしばらくの間マサラタウンに駐在することに決まった。
じじいの計らいでまだ子供のマツバに誰か付けさせようということになったのだが、
マサラタウンにあいつと同い年の男と言ったら俺くらいしかいなかったせいで半ば強制的に任命された。
まあそうゆうわけだったから毎日絶対顔を合わせなくちゃいけなかったし、
少しは口は聞かなくちゃ後でじじいがうるさかったから何度か普通の会話を試みたが結局は口喧嘩になってばっかりだった。
毎日喧嘩していた。
1日に何度も喧嘩した。
口喧嘩からまだしもそこからお互い熱くなって殴り合うこともあったし、陰湿な苛め合いもそういえばやっていたっけ。

それに比べたら、今は少しは落ち着いただろうか。
自然と合った視線に口をつぐむ。いつの間にこんな表情をするようになったんだろう。
マツバのこんな表情、知らなかった。


「・・・ボール見つからなかった」

「・・・そっか、」

なんとなく、わかっていたさ。
俺の前に現れたお前の表情が浮かなかったから。
気の利いた言葉なんていらない。
気なんて使われたくない。
ただボウっと空を見上げるマツバに、大人になれていないのは俺だけか。と一人苦笑を漏らした。


END


gdgdとマツバさんとの馴れ初めっていうかなんつーか。まあつまり関係を説明回。
マツバさんは別に主人公のことが嫌いなわけじゃないんです。多分。いやでもちょっとは嫌いかも。わかんね!

どう考えたって主人公が子供なだけですええはい!


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